雑記帳 破妖短歌


紅蓮姫と闇の王者を従えてこれ幸いと人の言うなり(ラエスリール)
時を駆け愛を嘯き千年の遊戯の報い今にあるかな(闇主)
心の臓貫くたびに歓喜する今宵の贄は上物の味(紅蓮姫)
この味がいいわと君が言ったから八月四日は破妖記念日(ラキス)
負うた子に教えられたる日々なれど宿り木となり枝を伸ばさん(マンスラム)
人の身の限られし旨心得てあの子のために今できること(サティン)
微笑を絶やさぬやうに言ひ聞かせ母の来た道祖母の行く道(セスラン)
戯れに爪弾いてみるこの想い口に出すこと神も許さじ(リーヴシェラン)
父親の気持ちが判る我が身かな差し伸べた手をついとはたかれ(邪羅)

胸焦がす後顧の憂いそのままに我は一人で只散りぬるを(亜珠)
子を成していよよ華やぐ白き母性炎の下に人は傅く(白煉)
美しきものを愛でてはいたづらに摘んでは枯らす花の如くに(桜妃)
その怒り真の物であるならば渡して見せよ紅の引導(九具楽)
空閨のいかでか慣れむ焦がれつつ指に絡めし黒の絹糸(ソルヴァンセス)
此の体跨ぐ数多の男より食指が動くか弱き玩具(佳瑠)
恋心縺れた糸の行く先は人の器にあらざりしもの(藍絲)
手放した囚われの恋纏いつく自虐となりて我を苛む(彩糸)

大地といふカンバス目掛け振り下ろす絵筆の先に血の走り行く(翡翠)
今一度まみえることが叶うなら喩えこの身が露となりても(葛衣)
此れまでとあるかなきかの笑み宿し全き君への忠義に殉ず(家井)
横たはる姉の冷たき唇に薬となりし蜜といふ罪(乱華)
生き急ぐ共に過ごした弟に伝へ忘れた別れの言葉(緋陵姫)
思い起こせば血湧き肉踊る戦場の懐かしきこといざ立ち去らん(ウルガ)
憎き敵討てとばかりに瞬いて誰が呼んだかこの破妖刀(ラザーラ)
四肢を裂く獣の牙の鋭さや白砂原の露と消え逝く(カーガス)
息絶える前に真実告げねばと走る男の僅かな誇り(シャーティン)

闇に堕ち鬱屈のみに縛らるる真名呼ぶ声もなきぞ悲しき(鎖縛)
悔いはない人と歩んだ青き日々ただ我が主が泣きはせぬかと(架因)
初恋は命あっての物種と胸に刻みし十九の春(シャイレン)
けしからぬ賎しき人の分際で我を揺るがす捕縛の瞳(セスランパパ)
護り手と言えども主を失えば任は解かれてはい左様なら(焔麻)
霧に立つ乙女に許されし時は僅かに五年されども五年(リンカスティ)
此の腹に息づく胎児の鼓動ゆえ過ちさえも甘美に変へて(内梨)
忘れじの稚児に連なるまた其れも人と魔性の縁とぞ思ふ(衣於留)

あの月は投げて戻らぬ銀貨なり降嫁の空に濡れて輝く(シュライン)
時が経ち禊の済んだ青月の招かれざりし四名の客(ミランス)
老獪な狸婆の腹の内暴いて見せん正義の刃(スラヴィエーラ)
この世をば強き女と泣く子には勝てぬ定めと思うなりけり(マイダード)
下戸なれど酒の名前と言う勿れ命も凍る氷結の斧(オルグァン)
恨むれど力及ばぬ若輩のさてもなりたや破妖剣士に(リメラトーン)
護り手に何がわかると詰られて苦味と共にまた臍を噛む(蜜里)
醜きは人にあらずと言い放ち驕れる妖主息子に食わるる(金の妖主)



ただ単に 四行目がやりたかっただけちゃうんかと その通りです ええその通り


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