フラれました(赤降♀)

降旗さんが原型留めてません。もはやオリキャラです。あと赤司くんがちょっとアホの子です。それでも大丈夫という方のみどうぞ。





春の穏やかな風を感じるようになったある日、春休みなのをいいことに殺人的なトレーニングを課せられていた誠凛バスケ部に死亡者が出かねない衝撃が走った。


「カントクさんはいるかな?」
突然体育館の扉を開け入ってきたのは京都にいるはずの赤司である。
「あれ?赤司くん、どうしたんですか?」
「やあ、テツヤ。久しぶりだね。カントクさんに話があるんだが時間貰えるかな?」
「だそうですよ、カントク。」
「それなら休憩にしましょうか。」
いつ終わるかわからない話の間中、メニューをやり続けることになるのかと不安を感じていた部員一同は安堵の息を吐く。
カントクからの指示であるからと気兼ねなく休憩を取ることにした部員達は、リコと赤司の近くに腰を下ろした。
あの赤司がわざわざ京都から足を運んでくるとはどんな用件かと、興味津々なのである。
「単刀直入に言おう。降旗さんを洛山に貰いたい。」
「……………は?」
「聞こえなかったのかい?降旗さんを洛ざ「ちょっと待てー!!!」
「騒々しいよ。ボクはカントクさんと話をしているんだ。」
「俺は主将だ!口出して何が悪い!」
「主将か。…では、カントクさんが答えてくれないようだから主将の君に聞こう。」
「偉そうなのが腹立つな!」
赤司のとんでもない発言に放心状態だったリコは、日向の言葉で我に返る。
リコ同様、放心状態だった他の部員達も。
しかし、放心状態から復活したとはいえ、未だ頭は混乱中である。
赤司の言ったことをうまく理解できないため、なんと言えばいいのかがわからない。
日向がいなければよく分からないまま頷いていただろう。
リコは自分に落ち着けと言いきかせ、改めて赤司に向き合った。
「ええと、赤司くん。降旗さんを貰いたいっていうのは、つまりヘッドハンティングかしら?」
「そうなるな。」
「彼女は選手でなくマネージャーよ?あなたの元チームメイトの桃井さんのように分析が得意なわけでもないわ。もちろんサポートなどはよくしてくれるけど、わざわざ東京から引き抜いていかなくてもいいはずよ。」
「もっともな意見だな。」
「何故彼女なのかしら?」
「それはボクが彼女を欲しいからだ。ゆくゆくは嫁にする。」
「……………嫁?」
「そうだ。だからまずはマネージャーとして側に置いておこうと思ってな。」
先程よりもぶっ飛んだ赤司の答えに、冷静でいられる訳もなく誠凛バスケ部は混乱状態だ。
「ううううちの子は嫁になんぞ出さねぇぞ!?」
「癒しの降旗ちゃんがいなくなっちゃうよ!どーしよ水戸部ー!?」
「フリと赤司って付き合ってたのか!?」
皆が混乱に大騒ぎしている中、至って冷静だった人物の決して大きくはない声が妙に体育館に響いた。
「降旗さん連れてきました。」
誠凛バスケ部の面々にとって冷静な者がいたことは喜ぶべきことだが、はたして話題の本人を連れてくるのは良いのか悪いのか。
しかし、連れてきてしまったものはしょうがない、本人に話を聞くことにする。
「皆で集まってどうしたんですか?洛山の赤司くんもいるし…」
「それなんだけどね、赤司くんからヘッドハン「降旗さん、洛山においで。」
リコの言葉を遮り、赤司は降旗に直接交渉を始めているが最早交渉ではない。
しかし誰かアイツ止めてくれと思っていても、誰も止められそうにない。
「えーと…?遊びにですか?」
「それも嬉しいが、マネージャーとしてだ。」
今まで思い通りにならなかったことがないというのは恐ろしい。
確定事項のように告げているのだから、非常に拒否しづらい空気である。
しかし降旗はそんな空気をものともせず、ナチュラルに拒否する強物であった。
「私は誠凛でマネージャーやってるので無理ですよ。洛山なら私なんかより優秀なマネージャーさんがより取り見取りだと思いますけど。」
あっさりばっさり拒否した降旗に、まさか拒否されるとは思っていなかったのだろう赤司は、返す言葉を出せないでいる。
(赤司くんが言葉に詰まるなんて珍しいですね。)
黒子がそんなことを考えているうちに、降旗は赤司へさらに言葉を重ねていく。
「それに、洛山て京都ですよね?そんな遠いところに行くなんて、独断では決められないです。」
「それはボクがご両親に話をしよう。」
復活したと思いきや、やはり行くことが前提になっていることに突っ込むのも面倒である。
しかし降旗のあの様子なら自分でお断りできるだろう。
降旗頑張れ、超頑張れ。
もはや誰も口を挟む気がないのは致し方ないことである。
「両親に話をするのは構わないですけど、私は行きませんよ。誠凛が好きなので他でマネージャーやるつもりはありません。」
降旗からの正式なお断りに打ちのめされた赤司は、今度こそ言葉が出なくなった。
さすがに赤司がちょっとかわいそうな気はするが、たまには挫折を味わうのも良いだろう。
「カントク、私まだ洗濯が途中なのでもう行ってもいいですか?」
貴重な赤司の打ちのめされた姿に興味のない降旗は、無情にもその場から去る許可を求める。
「待て!洛山にくれば好待遇を保証しよう!」
しかし打ちのめされながらも必死に静止の声を発した赤司に降旗の冷たい視線が向けられた。
「私、WCのときに赤司くんて恐い人なのかと思ったけど、ただの失礼な人だったんですね。」
そう言い放ちリコからの許可がないまま降旗は体育館を去った。
後に残されたのはあまりのショックに動かなくなった赤司と、降旗の新たな一面に驚きつつも赤司めざまあみろと思っている誠凛バスケ部一同であった。




降旗さんのMy設定として意外と肝が座ってるっていうのがあるので、恐いと思ってる赤司くんを目の前にしても自分の意見はバンバン言います。


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