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One week diary



練習試合の当日。
部活の練習が終わってから友達を誘ってグラウンドへ来ていた。
試合は現在七回の裏まで終わって青道が6点リード。
文哉先輩はまだ出てきていない。

初回からずっと青道ペースで展開されているこの試合。
今だってほら、得点のチャンス。
次のバッターは誰だっけ。
打席に向かう選手を確認すると、その姿に思わず身を乗り出した。


文哉先輩だ!


あの後ろ姿は絶対に文哉先輩だ。
何年も見てきたんだから間違うわけない。

代打で出てきた文哉先輩。
打席に立ったその表情には余裕がありそう。
文哉先輩がバットを構えると、私の手にも思わず力が入ってしまう。
打てますように、そう思ったのと同時に昨日の文哉先輩の言葉が頭を過る。


応援たのむな


私なんかの応援が無くたって文哉先輩はきっと打てる。
だけど文哉先輩に届けたくて、ここで応援してるよって届いてほしくて、握り締めた手を更にきつく握ると大きく息を吸い込んだ。


「文哉先輩!かっ飛ばせーっ」


賑やかなギャラリーの中でも思ったより響いた私の声。
でもそんな事より、それと同時に聞こえた金属音と外野の頭上を越えた打球を夢中になって目で追いかけた。

一塁ベースを蹴って、二塁にスライディングで到達した文哉先輩。
土を払って立ち上がるとこっちへ振り向いて、満面の笑顔で右の拳を上に突き上げた。
い、今のって私にしてくれたって思っていいのかな?
たった今向けられた笑顔が頭から離れなくて、胸はぎゅーっと握られたように締め付けられている。
もうとっくに試合に集中している文哉先輩をドキドキしながらずっと見つめていた。

周りからは何か言いたげな女の先輩たちの視線をバシバシ感じる。
いや、多分何か言ってるよね、きっと。
すみません、文哉先輩の後輩だからって調子に乗ってすみません。
決して目は合わせずに心の中で謝ってみる。

文哉先輩は見ての通りすごく格好いいしすごく優しい。
文哉先輩の周りにはいつも沢山の人がいて、あの人達みたいにきれいな女の人だって沢山いる。
彼女はいないみたいだけど・・・好きな人くらいいるんだろうな。

だけどそれでも私は文哉先輩が大好きで。
あの笑顔を何度だって見たいと思ってしまう。


次の打者のタイムリーでホームに還って来た文哉先輩が、ベンチへ戻る前にもう一度こっちを向いて笑ってくれるから、私の心臓はもう破裂寸前だった。




土曜日もきみに夢中




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