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ゆうな様へ 五万打記念リク




「いらっしゃーい」


ガチャリと開いた玄関のドアから出てきたエプロン姿の名前にどきりとする。
何度もマンションの前まで訪れたことはあったけど、部屋へ入るのは今日が初めて。
このインターホンを押すまでに暫くの時間が掛かったのは内緒だ。



先月のとあるオフ日。
二人で会う約束をしていたが、名前の急な出勤で会うことが出来なかった。
仕方ないことだし別に気にしていなかったけど、名前がどうしても埋め合わせをしたいと言うからダメ元で名前の手料理が食べたいと言ってみた。
すると以外にもあっさりと承諾してくれて、俺のオフに合わせて午後に半休を取ってくれた今日、名前のマンションを訪れていた。


「お邪魔します」
「どうぞー」


玄関へ一歩踏み込むと、初めて名前と出会ったときに感じた甘い香りが鼻を掠めた。

名前の匂いだ。

無駄にどきどきしながら名前に続いて短めの廊下を歩く。
廊下の先にあるドアを潜るとその先はリビングダイニングだった。


「ご飯すぐできるからソファ座って待ってて」
「おぉ」


そう言うと名前は対面式のキッチンへ立ち、手際良く仕度を進める。
その姿は手慣れたものだ。
俺は言われた通り、その姿が見える向きに置かれたソファに腰かけた。

グレーの手触りの良いラグが敷かれたリビングスペース。
すっきりとした割とシンプルな部屋だけどインテリアはどれもオシャレで、大人の女性の部屋という感じだ。
俺らの寮とは大違い。
まぁ、当たり前か。



‥それにしても落ち着かねぇ。


名前がテレビを点けてくれたけど、賑やかなバラエティー番組もまるで頭に入らない。
あんまりきょろきょろするのも悪いかと思ったが、リビングの隣にある部屋に目が止まった。
どうやら寝室らしい。
少しだけ開いたドアから見えるベッドは女の子らしいカバーが掛けられている。

同時にいつかの元カレの顔が浮かんできて、慌ててそいつを追い払う。
別に変なこと考えたわけじゃないからな。
俺は名前の手料理が食べたくてここに来たんだ。

まぁ、名前の飯が食いたいと言った時点で下心が全く無かったと言えば嘘になるかもしれないけど・・・
最近、御幸や亮さんにからかわれてるせいでつい敏感になってしまう。

一人頭の中で悶々としていると、キッチンから名前の笑い声が聞こえた。
俺の考えていることが見透かされたんじゃないかと思ってどきっとする。


「なんか緊張してる?」
「べつにしてねぇ」
「えーほんとかなぁ」


くそ、なんか名前の余裕ある感じが腹立つ。
こういう時、やっぱこいつは年上なんだなって思い知る。

名前はまだ可笑しそうに笑いながら料理の乗った皿を両手に持って、キッチンからテーブルへと運んできた。



「お待たせしました」
「すげぇ」
「あんまり時間無かったからこれしか作れなかったんだけど・・」


いや、十分すぎる。
運ばれてきたのはふわふわの卵にデミソースが掛かったオムライス。
サラダにスープまで付いている。


「これ、全部作ったのか?」
「うん。デミソースはちょっと自信有り」


ふふん、と得意げに笑った名前はすべてを運び終えると俺の向いに座った。
俺もソファから一段降りて座り、二人で手を合わせていただきますをする。
一掬いしたスプーンを口に運ぶと、大きな瞳でじっとこっちを見ている名前と目が合った。


「どう、かな?」
「・・・すげぇうまい!」
「よかったぁ」


ふわりと笑った名前は安心したみたいで、やっと自分の飯に手をつけ始めた。
さっきまで心配そうな顔してたのに、うん、うまい!なんて言ってる名前が可笑しくて笑ってしまう。


名前の料理を食べ終わった後は二人で片付けをしてソファに座って、テレビを見ながら野球のことを話したり、名前の仕事の話を聞く。
なんかこういうの、すげぇ良いな。
いつもより名前を近くに感じることができる。




「なぁ、また来てもいい?」
「うん。あ・・でも寮の門限は破らないこと」
「分かってる」
「ならよし!・・・ていうか私も来て欲しい。洋一がいてくれたらこの部屋も寂しくないから」



そう言って嬉しそうに笑う名前の手を引き、腕の中に収めた。
腕を背中に回してぎゅっと抱きしめる。


門限まであと二時間。
ぎりぎりまでひっついてたくて、名前の肩口に顔を埋めた。




きみの香りを纏う
(いつだって思いだせるようにと)


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五万打記念、ゆうな様リクの倉持夢でした。

連載倉持、おねーさんの部屋へ行く!
いかがだったでしょうか(^^)
倉持の緊張感出せましたかね...

おねーさんとしては寮の門限を守ってもらいたいのですが、きっと破ったり抜け出したりしちゃう倉持。
そもそも寮の門限って何時なんでしょうか。
私の母校の寮は外出時の門限は9時だと聞いたことがあったので頭の中で同じく9時と考えていたのですが・・・
アバウトで申し訳ありません。

このような代物で大変恐縮ですが、お気に召していただければ何よりです。
ゆうな様限定でお持ち帰り可とさせていただいておりますのでよろしければお持ち帰りくださいませ(^O^)

この度は五万打企画にご参加いただき、ありがとうございました!
また、日頃よりTRAIN-TRAIN!!にお越しいただき本当にありがとうございます!
これからもゆうなさまにお楽しみいただけるようなサイトにしていけるよう頑張りますので今後ともよろしくお願いいたします。


2011/10/14 小鳥遊 隼斗




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