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燿様へ 三万打記念リク




暗くなった夜のグラウンド。
うちの学校には名門校のような煌々とグラウンドを照らすナイターなんてものは無くて、所々に設置された夜間練習用のライトがぼんやりとグラウンドを照らす。

決して明るいとは言えないブルペンには、一人黙々とネットに向かってボールを投げるエースの姿。
監督から監視役を任された私はその横にしゃがみ込んでその姿を見守った。


「・・俊平、無理するとまた痛めるよ」
「わかってる。もう少し・・っ」


さっきから何度声を掛けても同じ返事しか返ってこない。
ボールを投げるその横顔は、たまに苦しそうだ。


「ねぇ俊平」
「ん?」
「もう今日はおしまい!私が監督に怒られちゃうってば」
「・・・しょうがねぇな。じゃあ今日はもう終わりにする」


やっと振り向いてくれた俊平に用意していたタオルを手渡すと、それを受け取り帽子を脱いだ。
その頭は風呂上がりのように湿っていて、タオルで包み込むようにしてがしがしと拭っている。


「最近ちょっと飛ばしすぎだよ。秋までまだあるんだから頑張りすぎは駄目」
「格好良いとこ見せてぇじゃん?」
「またそうやってモテようとする」
「モテたいわけじゃねぇよ。ただ、好きなやつに格好良いとこ見せたいだけ」


好きなやつ・・・
たまに俊平の口から聞くその話はいつだって私の胸をぎゅっとさせる。
どうせ私は口煩いただのマネージャーですよ。


「・・そっか、そりゃ頑張りたくもなるよね」
「このままじゃ終われねぇだろ。だから、ちゃんと傍で見てろよ」
「ん?」
「格好良いとこ見せてやるからしっかり見てろ」


しっかり、見てろ?


「お前意味分かってる?」
「え、あ・・ぇ・・・」


どうゆうこと、とか
私に見せてどうする、とか
頭では色んな事を考えられているんだけど言葉が全然出てこなくて、声にすることが出来ない。


「言わないと分かんねぇ?」


そう言って私の顔を覗き込んだ俊平の顔が近すぎて、無意識にぐっと息を止めた。




「名前が好き」


くっついてしまいそうな距離でそう言った俊平の声が耳に響く。
顔が、耳が熱い。


「すげぇ好き、大好き」
「もも、もう分かりました・・っ」


心臓が限界だ。
そう思ったのに。
俊平は私を覗き込んだまま優しく笑った。
その眩しすぎる笑顔に目眩すら覚える。


「名前は?」
「ぅあ・・・」


この男、絶対に確信犯だ。
にやりと少しだけ口角の上がった口元が確信犯だということを物語っていた。
その表情が早く言え、早く言えと私を急かすんだ。
ぎゅっと目を瞑って上手く回らない舌を必死に動かして声にした。



「っ俊平がすきっ・・・!!」


やっと出た声は自分でも予想していた以上に大きくて、慌てて口元を抑えて恐る恐る見上げてみる。



「はは、知ってる!」


その先に見えたのは憎たらしいほど余裕たっぷりな、それでも大好きな俊平の笑顔だった。


格好良い姿を見せてやると言ってくれた俊平。
私は今でさえあっぷあっぷしているというのに本当に大丈夫なんだろうか。
自分の心臓の耐久性がひどく心配になった。




限界チャレンジ
(たおれたときは、抱きおこしてね)








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三万打記念、燿様リクの真田さん夢でした。

余裕しゃくしゃくな俊平との甘い話を書きたかったのですが・・・(^_^;)
季節感を無視してしまった事に関してはお許しいただけたら・・と思いますm(__)m
このようなもので大変恐縮ですが、お気に召していただければ幸いです。
燿様限定でお持ち帰り可とさせておりますので、よろしければお持ち帰りくださいませ。

この度は三万打企画にご参加いただき、ありがとうございました!
また、日頃よりサイトに足を運んでいただき本当にありがとうございます!
これからもTRAIN-TRAIN!!をよろしくお願いいたします。

2011/04/21 小鳥遊 隼斗




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