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ageha様へ 一万打記念リク




「うぉー寒ぃー・・・」


すっかり寒くなった朝。
制服の下にはカーディガンを着込み、エナメルを提げて寮から学校へと歩く。
教室へ行く前に部室へ寄り道をしていつもの如く授業中に分析するスコアブックを取りに行こう。

部室から目当てのスコアブックを片手に、もうすぐ対外試合禁止の季節だなーなんて考えながら歩いていたら、下駄箱に立つ名前の後ろ姿を見つけた。
ベージュのカーディガンに綺麗な長い髪。
その上に巻かれた首元の紺色のマフラー。
名前に間違いない。
と言うより俺が名前の後ろ姿を間違うわけがない。

後ろから驚かしてやろうかな、なんて思い声を掛けようと一歩踏み出したその時、名前の肩からずり落ちたマフラーの片端をそっと巻き直し、優しく頭を撫でる手が下駄箱の影から現れた。
大きな、男の手。




誰だよ



直ぐさま入口前の階段を一段抜かしで駆け上がり、昇降口に足を踏み入れる。


「名前」
「あ、一也!おはよう」
「御幸、おはよう」


哲さん・・・

名前と向かい合って立っていたのは他でもない我らがキャプテン、哲さんだった。


「一也またスコア持ってる」
「スコア分析もいいが授業もちゃんと受けるんだぞ」
「そこは上手くやってるんで問題ないっす!」
「そうか。じゃあ俺は行くよ。名前もまたな」
「うん、哲くん。ばいばい」


下駄箱から教室へ繋がる階段を登っていく哲さんに頭を下げる俺と、笑顔で手を振り見送る名前。
哲さんの姿が見えなくなると、名前がくるりとこっちを向いた。


「教室行こ!」


にこにことしながらそう言う名前に笑顔を返せるほど俺は大人じゃなくて。
名前の腕を掴むと教室とは違う方向へ引っ張った。


「ぇ、どこ行くの?」


名前の言葉にも応えず黙ったまま早足で歩いて、たどり着いた先は図書室。
朝の予鈴まであと2分程。
こんな時間にここを訪れる人はいないだろう。

中に入り少し乱暴にドアを閉めると、電気を点けることもせず直ぐさま名前の唇に噛み付いた。


「・・っ・・・・・・」


息ができないくらいの長いくちづけに身じろぎする名前の両手を押さえ込み、マフラーの隙間からちらりと覗く白い喉元に唇を落とす。




「むかつく」
「ぇ・・・?」


困惑した表情の名前のぐるりと巻かれたマフラーの両端を少しだけ引っ張っぱる。
いっそこのままきつく締めてしまって名前を俺だけのものにしてしまおうか。
なんて危険思考に走りかけてしまうのも、全ては名前のせいだ。


「他の男に頭なんか撫でられてんなよ。にこにこすんなよ」
「哲くんは・・幼馴染みじゃない」


そんなこと分かってる。
名前と哲さんが幼馴染みで、哲さんがいるから名前が青道に入学したことも。
哲さんに対して名前が幼馴染み以上の感情を抱いていないことだって知っている。
でも、例えそうだとしても、名前はいつだって俺だけの名前でいてほしいのに。
ましてや相手が哲さんとなれば、焦りは更に加速する。




「あんまり妬かせんな・・」


ぽつりそう吐いてみれば名前は薄らと笑みを浮かべていて。
なんだか悔しくて力いっぱい抱きしめてみれば、腕の中から少しだけ苦しそうな名前の声が聞こえた。


「なに笑ってんだよ」
「だって嬉しいから」
「嬉しい?」
「いっつも私ばっかりヤキモチ妬いてるんだもん」


俺の背中にぎゅっと腕を回した名前は顔を胸元に擦り寄せた。
ふわりと名前の香りが鼻を掠める。


「好き。一也だけが大好き。一也以外なんて見えない」


俺の腕にすっぽり収まる小さな肩。
両手いっぱいに広げて回された細い腕。


柔らかなこの体も唇も、
俺だけが知っている名前なんだと実感できる瞬間。
名前の唇から溢れる好き、の言葉だけでこんなにも満たされて、さっきまでの毒気はどこへやら。


「俺も名前しかいらない。だから・・・あんまし不安にさせないで」



さっきは乱暴にしてしまったから。
今度はそっとその唇にくちづけた。




JEALOUSY
(純情のさき、ヤンデレのいっぽ手前)


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ageha様リク 御幸夢でした。
糖度高めを目指していたのですが、少し少なめになってしまったでしょうか・・・
御幸の嫉妬夢=ヤンデレ気味になってしまう傾向があるようです・・・(--;)
ヒロインが好きすぎて堪らない御幸と解釈していただければ幸いです・・

一万打企画にご参加くださったageha様、この度は誠にありがとうございました!!
お気に召していただけたようでしたら、よろしければageha様限定でお持ち帰りくださいませ☆
今後もTRAIN-TRAIN!!をよろしくお願いいたします!

2010/10/29 小鳥遊 隼斗




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