Let'sコンビニ♪あなたはどこ派?



寝間着のハーフパンツはそのままで、裸だった上半身に袖のない水色のパーカーを着る。下に何も着ないのは、俺の確立されたファッションスタイルだと思って欲しい。ロックだロック。

遊びに行くならばっちりと服を選んで、程良いくらいにアクセをつけて、髪のゆるパー具合を確かめる俺だけど、寝起きに近所のコンビニ行くならこんなもんでふらふらっと出て行く。

おしゃれは好きだが、俺はその時の欲求に限りなく従順だ。今現在の欲求とはズバリ、なんか食いたい。

スマホと財布と鍵だけを持って玄関を出る。俺の部屋は8階だ。このマンションは12階建て。

高級マンションとは言えないが、駅前だし新しいし、俺もなかなかの好物件を見つけたもんだ。

建物の端まで歩いて、エレベーターに乗り込んだ。平日の午後3時くらいだから、まぁ誰もいないわな。

そう思っていたが、エレベーターは6階で止まった。

自動ドアが開いた瞬間、そこに立っていた20代くらいのお姉さんが、抱えていた紙の束をドサーッと落とした。

「うおっ!」

慌てて『開く』のボタンを押す。紙はちょうどドアのところの境界線あたりに散らばっていた。

とっさに紙を拾おうとしたが、しゃがめば指がボタンから離れる。しかし紙を拾わないと。ああでもボタンは離せないっ。

ちょっとテンパった俺は、3秒くらい軽くスクワットをするという謎の動きをした。アホか。なんのダンスだよ。

「あ! すっ、すみません!」

お姉さんがようやく動き出し、自ら紙をかき集めた。ああ、手伝えなくて申し訳ない。

集め終わってそれを持ち上げたときに、その紙に絵が描いてあるのが見えた。

「漫画ですか?」

お姉さんが乗り込んだのを確認して、ボタンから指を話した。

俺の問いかけにビクゥッと音がつくほど肩を跳ねさせて、お姉さんが「は、はぃ…」と小さく頷いた。

……俺もしかして、ガラ悪く見えてんのかな。

今度はできるだけ柔らかく、笑顔を意識して話しかけてみた。

「漫画家さんなんですか?」

するとお姉さんはますます縮こまり、蚊の鳴くような声でまた「はぃ…」と答えた。

こ、ここまでの反応は久々すぎて新鮮だぜ。

女の人には、よくこんな反応をされた。俺は一応自分の容姿は自覚してるつもりだ。自分と接した女の人がどうなるかはある程度予想している。

 

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