話がたいぶ迷子になったが、問題はジンが何時頃街に出てこれるかだ。

ジンの学校は、イチさんがバイクをすっ飛ばせても1時間はかかる。しかも全寮制な上に生徒会長のジンが街に降りてくるのは、もはや脱獄に近いんじゃなかろーか。

それなのになんでジンがしょっちゅう溜まり場にいるのかというと、ジンがそれだけ『あそこ』を気に入っているからだろう。自分の好きなものに犠牲を惜しまないあいつは、寝る時間を削ってでもそれに執着する。

ベッドがら這い出て、テーブルの上のスマホを確認しながら、昨日飲みかけだったチューハイを煽った。炭酸が抜けきってぬっるいが、まずくはないので特に気にしない。

スマホには、着信とメールが1件ずつ入っていた。どちらもジンからだ。先に電話をかけて出なかったから、メールくれたんだろうな。俺もジンも留守電というものがあまり好きではないから。

メールには、7時前には街に着くという文章が、文字のみで簡潔に記されていた。俺はたまに顔文字を使うが、ジンが文字と写メ以外を送って来たのを見たことがない。ジンからのメールにもし絵文字が使われていたら、俺は送信者を疑うね。

7時くらいに行けばよろしいか。集合場所は確認せずとも決まっている。現地、つまりカラオケ屋だ。

まだまだ時間あるじゃないの。もっと寝てればよかったー。

俺の就寝はだいたい朝方だ。太陽さんおはようと共に俺はお休みなさい。無駄に惰眠を貪る俺なので、12時間以上寝通しなんてざらにある。

中学の修学旅行では、朝全く起きない俺は死んだと思われたらしい。それ知って笑ったわー。

逆に丸々2日間くらい起きているということもある。それはだいたい何かに熱中してるときで、気付けばあら、50時間も起きてる、なんてこともよくある。

つまり俺に1日のサイクルなんて存在しない。眠いときに寝て、目が覚めたら起きる。起きたらとりあえず何か口に入れて、また眠くなるまでが行動時間だ。

「規則正しい生活をしなさい」と主治医は口を酸っぱくして言うが、今のところ、俺にはそれに従う気はなかった。

チューハイの缶片手に冷蔵庫を開けるが、笑えるくらいに何もない。基本的に目が覚めた瞬間食べ物を欲する俺の身体は我慢が利かなくて、仕方なしに近くのコンビニまで出掛けることにした。

顔をサッと洗って髪を撫でつける。うお、変なとこ跳ねてるし。もうカチューシャでオールバックにしちゃおうか。

 

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