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しかも無駄に男前なハルさんだから、ちょっと想像できてしまってさらに恐ろしい。
「おまえ鳥肌立ててんじゃねぇよ」
それは無理な話だ。まさに身の毛がよだっている状態である。
「どうせ立てんなら別なとこたたせろや」
「うわハルさん、それはエグい。ハルさんの情事想像してたつとか! ねぇよ!」
笑いすぎてそれなりに鍛えてるはずの腹筋が痛い。もしかして普通に腹筋するより、笑った方が鍛えられるんではなかろーか。
「…本当にたたせてやろうか」
「へあ?」
おっと予想だにしない展開。何故に俺はハルさんに押し倒されているんでしょうか。
「…わーハルさんてば大胆」
「鈍感野郎にはちっとばかり大胆にがっつくんだよ。草食系なんてくそ食らえだ」
包帯はすっかり巻き終わっていて、素肌の見える肘と右手首をまとめて頭上で固定された。しかも片手で。もう片方は俺の腹を撫でている。
「なにげ筋肉ついてんなぁ。うちの下っ端よりか全然腹筋あんぞ」
「そりゃ、日夜トレーニングに励んでおりますからね」
「ほう、どんな?」
「…ふ、腹筋朝晩20回ずつとか?」
「それでこんだけ割れんなら誰も苦労しねぇな」
クツクツと喉で笑われる。どうにもバカにされてるようだ。そりゃハルさんに比べれば俺なんて枝だけど! ハルさんの腕全然ふりほどけないけど! なにこの差。
「ハルさん、泣いていいですか」
「そんなに俺とヤるのが嫌か?」
「いやじゃなくて、俺とハルさんの体格と力の差に泣けて…って、ヤる…? は?」
俺の聞き間違いかね。
「この体制でヤるっつったらアレしかねぇよな? イルマ」
ハルさん、なんでそんなに楽しそうなの。
はっ、ハルさんが楽しんでるということは、からかってるんか? なんせ人をからかうのが趣味と言っても過言ではない男だ。なんだ、これは遊びか。
よしよし、そうとわかればノッてやろうじゃないの。
「ハルさん、手つきエロいっすねぇ」
ちょっと誘うようにハルさんを見上げてみる。誘い方には少しばかり自信がある。これであやかをたらし込んだからな。
…いや、たらし込むというのは語弊がありすぎるぞ俺。
ハルさんはわずかに目を見開いて、すぐに嬉しそうな、興奮したような顔になった。
……え、興奮?
「ハルさ…っ」
ハルさんの指が乳首を掠めて、思わず息を詰めた。
目の前の唇がその端を吊り上げる。
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