2人に礼を言って倉庫の扉を開ける。薄暗い中には30人くらいの、だいたい十代のガラわりー男ども。俺が入ってきたのを見てみんなびっくりな顔をした。

こんだけの人数一人一人に説明すんのは面倒なので、何か言われる前に叫ぶことにした。

「こんばんはエブリワン! わりーけど水道貸してくんねーかな。元カノにコーラぶっかけられたんだけど!」

次の瞬間、倉庫は爆笑に包まれた。




「はーさっぱり! ベタベタ気持ち悪かったー」

倉庫の奥の方にある水道で、上半身裸になって頭を洗わせてもらった。身体は軽く洗った自分のシャツで拭いてベタベタを取った。

今はこれでよしとしよう。帰ったらシャワー浴びればいいし。

水道水は冷たかったけど、真夏だから問題ない。

頭を洗い終わった俺は、面白がって状況を知りたがる奴らに質問攻めにあった。

「なーなー、なんて言ってフラれたの? イルマくんみたいなヤリチンとは付き合えませんって?」

「ヤリチンじゃねーしフッたの俺だし! ん? でもあれは最終的に俺がフラれたのか?」

「ファミレスでしょ? 笑われた? 周りに注目されたっしょ?」

「あやかが店のど真ん中の席にいたから、ほぼ全員に見られたよ! 今のお前らと同じよーに笑われました!」

「ぎゃははは! あやかちゃんやるー! 傑作だ!」

「あやかちゃん最高っ、いいぞもっとやれ! ぶわはははっ」

何人かにバシバシと背中を叩かれる。いてーよ! 俺素肌だから! 素肌に不良の平手打ちはキツいぜ。

とか言いながら俺も一緒になって笑ってるけど。

もちろん笑われるばかりじゃなくて、心配してくれる奴もいた。

そういう奴はたいていチームの下っ端か新人の奴らで、控え目に笑いながらも「大丈夫すか?」と声をかけてくれた。

優しっ! だから後輩とか年下って好きなんだ。

「あ、誰かシャツとか持ってねぇ? さすがに半裸で夜道歩けねーよ」

「俺持ってねーよ」

「俺も。つか普通着替えとか持ってんの血濡れになる幹部くらいだし」

「上の人らは今総長たちとチキンレースしてっからなー」

「もう裸で帰ったら?」

「帰れるか!」

「あ、俺の今着てるので良ければ貸しますよ! 汗くさいですけど!」

「いらん! ごめん!」

その後も何人かが自分たちのシャツを貸してくれようとしたけど、丁重に断った。真夏の男が1日着た服なんて、申し訳ないが身につけたくない。


[ 13/35 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -