「俺は昔から大食漢でさ。見かねた親が専属シェフを雇ったの。俺がここに入学する時、そのシェフまでくっつけてきたんだよ。親バカだろ?」

東雲はそう言って笑ったが、俺は「親バカ」の意味を知らない。

知ってたら俺も笑えたのかな、なんて考えながら、東雲の胃に料理が消えていくのを眺めていた。

東雲はシメにパフェを注文した。

俺はパフェを間近で見たことがない。

運ばれてきたパフェは意外と大きく、果物やらビスケットやらアイスやらが乗っかっている。

なんと形容するべきか、その妙に目を奪われる食べ物を、無意識にじっと見つめていたらしい。

「食うか?」

東雲が、クリームを乗せたスプーンを差し出してきた。

得体の知れないモノにはいつも警戒するが、東雲が食べているんだから大丈夫だろうと、それを口に含むと、なんとも言えない甘みが広がり、思わず「うまい…」と呟いていた。

「だろ? うちのシェフの料理はどれも絶品だけど、中でもスイーツは格別なんだよ。お前も食え、小野」

「へぇっ!?」

小野が変な声を上げ、東雲からパフェを食べさせられ、それからは3人でおいしくいただいた。


 

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