ひしりと抱き合って、わんわん泣く。すぐに、俺のシャツも結人のシャツもびしょ濡れになった。

割といろんなことがカブる俺たちは、今回はフられるタイミングまでカブったようだ。俺は片思いだった部活のマネージャーに告ってフられ、結人は2ヶ月付き合ったギャル系の彼女にフられた。

互いに「でかすぎる」「チャラすぎる」という理由で。

「コウちゃん大丈夫だよぉ。『日高はでかくて優しくて格好いいから大好きだ!』って、男どもには大人気だからさぁ」

「ばかやろぉ。男にモテても仕方ねぇだろ…。結人こそ、狙ってる女子が山ほどいんだから次がまたすぐ来るって」

「そんでまたすぐフられんのかよー! 俺もういやだそんなの!」

ふぇぇぇん、と、結人がきつく俺の首を抱き締める。それに比例するように、俺も結人の背中に回す腕に力を込めた。

元々の傷心もあるが、結人の涙は俺の涙をも誘ってしまう。

しばらくの間、2人して鼻をずびずび言わせていた。

時計がゆうに30分後の時を示したころ、ようやく俺たちの涙は止まった。

「……」

「……?」

普段なら、泣き終わるとどちらともなく離れていく。そして「顔ぐしゃくしゃだ」と笑い合うのだ。

しかし今日は結人が離れていかない。

「結人?」

「……」

名前を呼んでも返事がない。代わりに、というのも変だが、結人の手が俺の背中を撫で回し始めた。

慰めてくれるつもりなのだろうか。

しかし何で今ごろ? 背中を撫でるなら、泣いてる間に機会があったはずだ。

考えてるうちに、結人の手は俺のシャツの中に滑り込む。

「コウちゃんの体、筋肉いっぱいで固いね。やっぱ女の子と違う…」

「? なに言ってんだ、当たり前だろ。結人だって鍛えてるから筋肉ついてるじゃねーか」

なんとなく、俺も結人の背中を撫でてみる。サッカー部エースだっただけあって、背筋は見事なもんだ。筋肉だけなら、強豪校レギュラーにも引けを取らないんではないだろうか。

結人は長い間背中を撫で回したあと、ゆっくりとズボンの中に手を入れてきた。

これには俺も少し慌てる。

「ゆ、結人? なにやってんだ?」

「んー、やってるっつか、やろうとしてる?」

なにを訳のわからんことを。結人の手は、座っているために広範囲を触ることができず、尻の割れ目から腰にかけてを蠢いた。

その感覚に、むずむずと体が疼く。

「結人、やめろって…」

「待って」



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