前回までのあらすじ:鳥人間が怖いサックラー

夢からはまだ覚めない。
もういっそコレが現実だとすら思えてきた。
こんなとき、なぜキュッキュくんは姿を見せてくれないんだ、君は頭を撫でるのが仕事じゃないのか。
「あの・・・、マドツキさん・・・ちょっと・・・」
「あぁん?んだよ、私眠いんだけど」
「・・・」
置いてけぼりにするつもりだ、この人。
「この夢、何時になれば覚めるんですか?」
「んー、多分ね、・・・一生覚めやしないだろう。君は、一生この夢の中で生き続けるんだ」
初めて見たマドツキさんの笑顔は
「は・・・?」
とても狂気的で、
「君は、私の変わりになるんだよ」
好奇に満ちていた。

「冗談言ってんじゃねえぞこの厨二病が」
鋭い声と、鈍い音がした。
「よぉ、サックラー」
拳を固めた、赤い髪の少女が微笑みかける。
「って!ちょ、六!なにしてん!あー!たんこぶ出来た!」
「おめーこそなにしてんだ、一般人巻き込んでよォ、その遊びいい加減やめたらどーだい、趣味の悪い」
「人の趣味に口出ししないでよ!だって六が羨ましいのよ!人間と戯れられてさぁ!私なんてこんな暗い空間に一人よ!?」
「お前が望んでここにいるんでしょ」
「トミー、い、いったいこれは」
「ああ、コイツ?まあいわゆる化け物だよ」
「失敬な、高貴な夢魔様と呼べ」
「男監禁して眠らせねえくせに高貴、と。逆に低俗だぞ」
「うっさぁい!」
「あと、お前はもう大丈夫だ。まぁ・・・、あと三日くらいは寝ないことが賢明だな」
じゃーな、と手を振るトミーの後ろ姿を見送り、ホッと胸をなでおろす。(しかし、最後の発言がとても胸に突っかかる)
さて、目を覚まそうと思い、その場に寝転んだ。
・・・、
・・・、
・・・・・・。

・・・逆に眼が冴えて眠れなくなってしまったなんて、誰にも言えない事実であった。
空気な主人公トミーさん

いったんおーわり!




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