「垣根さんって、学生なんですか?」
「は?」
「いや、だって、ワルぶったファッションではあるけど、一応学生服なのかなぁ・・・って思って、それに白いワイシャツも着てるし」
「それって知ったところでお前に有益な情報なのか?」
「単に知りたいだけです、と言ったら」
「めんどくせえから教えない」
口角がひきつったのが自分でもよくわかった。しかし怒ったら負けだ、これは一種の我慢大会だと思い込めばいい、と言い聞かせなんとか口元の筋肉のけいれんを押さえつけた。
「お前は、今の時代ではもう稀になった生真面目で規律正しい女子中学生ってカンジだな」
「お言葉ですが、教育機関を一段階間違っていますよ、高校生です」
それは、胸だってぺったんこだし、背だってちっちゃい、おまけにぱっとしない黒髪だ、目立つ訳がない。自分のことは自分で一番わかっている。
髪くらい染めようかなぁと考えてはいるものの、なかなか決心がつかない、一度染めたらなんども染め直さないといけないという手間が面倒なのだ。
「しかし、なんでこんなにぱっとしない見た目のヤツがこんな裏社会の仕事なんざしてるんだろうな」
「人は見た目じゃないってことですよ」
「まあホントになにもなさすぎて逆に驚くけどな」
「いい加減にしないとひっぱたきますよ、これでも髪くらいは染めようと」
「よし、買ってきてやるよ、ブリーチとかでいいか?」
「せっ、せめて茶色とかにしません・・・?」
「つまんねえ」
「ひっ人の髪をなんだと思ってるんですか貴方は!」
「こーいう若干赤みがかったブラックとかいいんじゃねえの」
そう言いながら垣根さんが自分の着ていたワインレッドのシャツを引っ張る。
「それもうワインとなんら変わらないじゃないですか!!怒られますよ!」
「そんなこと言ってたらなんも変われねえっつーの」
ぼそり、とつぶやかれた言葉がヤケに胸に突き刺さった。
「・・・」
「ということで、ブリーチに決定な」
「そっそこのドラッグストアですよね!?行きますっ私も付いていきますっ!だから変な色だけはやめてくださいよ!金色は嫌です!あとピンク系とか赤系も!」
「ついでにピアッサーとか買ってこようぜ、ピアスは俺が選んでやろう」
「話聞いてましたか!?ピアスはしませんよ!?」
「じゃあ・・・、ほかになんか・・・」
「垣根さん、まずお話し合いをしましょう」

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