「何見てるのよ」
「いやぁ、相も変わらずそのツンケンした性格に相対するゆるふわヘアーだことと・・・」
言いたいことをすべて言いきる前に、睨まれたので「おっと」と呟いて口を押さえた。
「なんでここの男はどいつも真面目に仕事できないのかしら」
憂うように、嘆くように、口から紡ぎだされた言葉に「それは心外だ」と眉間にしわを寄せた。
「かくいう私めは君を見ながら真面目にお仕事を」
「ばっかじゃないの」
「人の話は最後まで聞くに限るぞ」
「うっさい、最後まで聞いたって、ロクなこと喋らないクセに」
「じゃあ、逆にロクなことを喋れば聴いてくれるわけだな?」
「さあね」そっぽを向かれた、嫌われてんのかな、視界が少しかすんだ気がした。
「なあ、対馬ぁ、今日さぁ、飲みに行かないー?」とへらへら笑いながら尋ねると、「嫌」と瞬殺された。
「俺さぁ、一回でいいから対馬と語りたいワケよ、勿論俺が奢るから、な、悪い話ではないだろ?」
「どうせ五和が云々って、あのクワガタみたいなこと延々語るんでしょ?」
「ぶっちゃけ五和より対馬のほうが好みなんだよなぁ、」俺、と言いかけたところで、突然視界が茶色くなった。「あちっ」と反射的に言葉が出たところからして、きっと対馬が飲んでいたコーヒーを投げつけられたんだろう。
「・・・なぁ、対馬、ひとつ、スッゲー真剣な質問に答えてくれないか」
「なに」
「お前さ、俺のこと嫌いだろ?」
「嫌いではないわよ」その言葉に信憑性もクソもない。



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