とある男性から、ネックレスをもらった。
いかにも、雑貨屋で買いましたよといったデザインのものだ。
正直、つける気もしなかったが、其処は社交辞令だ。その男の前で身に付けてやった。彼は嬉しそうに笑っていた。
「でー、その社交辞令をまだ続けてるわけか」
「まぁ、貰ったんですし、今日一日はつけておいて、明日には「やっぱり、せっかくいただいたものだけど、壊したら何ですし、しまっておきます」とでも言っておきますよ」
すると木原は「是非今のセリフの裏をその男に教えてやりてぇもんだよ」と愉快そうに笑った。
「でもよぉ、オマエ、実はそのネックレス、すげー気に入ってたりしてんだろ?」
根も葉もない疑問に「はぁ?」と眉間にシワを寄せると、木原はまだ笑っていた。
とうとう狂ったか。と見て見ぬふりをすると、いつの間にか彼の笑い声は背後から聞こえていた。
「・・・何してるんですか」訝しげな目付きで、彼を見ると、彼はじゃらじゃらとネックレスの鎖を指でいじり始めた。
「なにがしたいんですか」
くいっと彼の指に鎖が絡まると、それを握り、思い切り後ろに引っ張られた。
うぐ・・・っと喉の奥から声が漏れた。
「いやぁ、そんなに大切なら、その首輪で首つって死んじまえよ、と思ってさ」
男はいつものように、軽い口振りで残酷なことを告げる。
そりゃ痛い。あと苦しい。きっと首もとは赤く痣ができているだろう。当分、ハイネックのシャツ生活だ。
しかし、どうしてくれるつもりなのだろうか、気がつけば身体中痣だらけだ。
ぷつり、と呆気ない音がしたと思ったら、銀色の細い鎖は床にシャラン、と音をたて落ちた。
彼が残念そうに肩をすくめる。
「こんな細い鎖と硝子玉で、死ねるわけないじゃあないですか」そう言って笑うと、彼は呆れたと言わんばかりにため息をついた。
「ホントにわかんねーわお前、なんだよ、死にたかったワケ?」
「いいえ、ただ、貴方の暴力で迎える最期というのは、実に自分らしいと思いまして」
あと、と呟き、床に落ちた残骸を見つめて、口を開いた。
「なんなら、15カラットダイヤのネックレスで殺されたいものです。安い死に方は、したくないので」

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