◎学パロ





「先生、こんばんわ」
電話の先から真っ先に聞こえてきたのは眠たそうな欠伸だった。
「おいみょうじ、今何時だと思って電話をかけてきているんだ?」
「やだなぁ、まだ12時前ですよ」
「…消灯は10時だぞ」
「固いこと言わないでくださいよぉ」
「いい加減にしないと、引率の先生に電話で報告するぞ」
「へぇ、なんて言うんです?」
「『私の予測からして、眠らずに通話している誰かさんがいますよ』とでも電話しといてやるよ」
「とか言って、本当は来たかったんじゃなかったんですか?修学旅行」
「生憎、お前みたいにうるさいのが居なくて少しほっとしてるよ」
「ひっどーい!」
何時も聞いている笑い声が聞けて、心が落ち着いていくのがわかる。
「どうだ、京都は晴れているか?」
「うーん、東京となんら変わらないですよ。ネオンがまぶしいです」
「そうか、というかみょうじ、お前今どこにいるんだ」
「泊まってる部屋のバルコニーです」
「今すぐ部屋に戻れ」
「嫌です」
「電話切るぞ」
「あーっ!待って、待って、まだ話したいこともいっぱいあるのに!

「帰ってきたらいくらでも聞いてやるさ」
むっと唇を尖らせても、きっと電話の向こうの先生には何も届かないだろう。
「どうした」
「…先生と京都に来たかったなぁ、って」
「…卒業したらいくらでも、と言いたいが生憎暇も金もないからな」
「ちょっとまってください、今なんて」
「ん、いや、なにかおかしなことを言ったか」
「ああああ、あの、その、さっきのって、プププププ、」
「…そんなつもりはないんだがな、俺はただ卒業したら一緒に京都に行こうって」
「だからそれが!プロポーズに聞こえるって!話です!」


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