我ながら、きったねえ恋の仕方だとは薄々勘づいている。
しかし、言わせていただけばこれが自分の恋の形である。誰かにどうこう言われる筋合いなんて微塵もない。
「なぁにまたそんな泣きそうな顔してんだよ」なんてデリカシーのない言葉をかけることができるのも、こんなものだからなんて甘んじている訳だ。
「…あの人」
「なに」
「あの人、好きな人はいるのでしょうか?」
「さあなぁ」
これが乙女のセンチメンタリズムというものか、近頃は浮かない顔ばかりだ。



あどけない微笑みを浮かべる君が好きだよ。



なんて甘ったるい台詞を言ったところで、この言葉を望む人物は自分でなく、世界の誰でもなく、あの少年。そう、あの少年一人なのだ。

「なあ、五和」
「なんかあったら、言ってくれよ。俺、力になりたいんだよ」
「話もゆっくり聞いてやる。そうだな、飯でも食いながらなんてどうだろう」

いっそ、あの少年がこの哀れな娘をひと思いにふってくれないものか、そんなこと、この願いがボロボロになるくらい考えた。そこで彼女を慰める俺に恋心が芽生えてくれやしないものかな、なんてことも。
「いつも、ありがとうございます」
やっぱり、今にも泣きそうな顔だ。
「あと、」

―いつでも俺のところに帰ってきてくれていいんだよ。

「なんでしょう?」

馬鹿げてるよね、汚いよね、元々自分のものじゃないのに。いつ決めたんだろう、彼女が自分のものだなんて、妄想に過ぎないのにね。


「ん、いや、なんでもね」



いっそ俺をひと思いにふってくれないものかなぁ。



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