「で、詳しくお話を聞かせていただきたいのですが」
すべての元凶は気まずそうに目をそらしている、そして一向に口を開こうとしない。
「いや、これには深い訳が」
「だからその訳を聞きに来てるんです」
何故か目元にうっすらと液体が滲み出ているように見えるが、ここで情けを見せれば丸め込まれる、それだけは避けたい。
「ホラ、さっさとしゃべっちゃったほうが・・・」
「結婚、しないか」
「え」
そうつぶやいた瞬間、何かに引っ張られた気がして、腕を伸ばした。
閉じたまぶたをゆっくりと開くと、そこには見慣れた天井、ああ、夢だったのか、全部。
正直な話、何処までが夢で、何処からが現実だかがはっきりしない。というか全部夢であって欲しいのが本音である。
あくびをすると、なにか香ばしい臭いが鼻をかすめた。
驚いてベッドから飛び起きると、「おはようさん」と聞きなれた嫌な声が聞こえた。
「何を・・・」
「いや、疲れてるだろうなーと思って」
朝飯作りに来た、と得意げな笑みを浮かべた。
「謝りに来た、大方の理由はそれでしょう」
その一言に、彼の先程までの笑顔が一瞬にして消え失せ、その上にまた苦笑いを浮かべた。
「とりあえず、座ってください」




「目覚め一番で、こんな話も嫌なんですがね、全部話していただけませんか」
「すまなかった」
「謝罪は二の次です、理由を」
「笑わないで、聞いてくれるか?」
朝は紅茶と決めているのに今日に限って切らしていた、仕方なくそこまで好きでもないコーヒーを流し込む。
「結婚、しないか」
とりあえず、適切な行動として、持っていたカップを床に落とした。

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