「おのれ・・・、我ながら恥ずかしいことをしてしまった・・・」
敵前逃亡である。
よくも私に恥をかかせてくれたな、えーっと、あの、・・・名前忘れた。
いいや、金髪豚野郎って呼んでやれば彼も本望だろう。そうに違いない。
「なにしてるにゃー」
「ウワアアアアアアアア」
「え、そんな驚くもの?え?」
「いえ」咳ばらいをし、なにかご用でもございますかね。と問いかけると、彼は笑顔で
「名前!」
「名前?」
「聞いてなかったから、聞こうと思って」
何故私は敵に笑顔で名前を聞かれているのだ。おかしいだろう。
「いえ、名乗るほどでは・・・」
「えー!せっかくかわいい女の子に巡り合えたんだし、名前くらいは―」
この男はこの手段で何人の女を落としてきたのだろうか。
でも、不思議と拒めない何かがあった。拒めば、この笑顔が消えてしまうのかと思うと不思議と心がもやもやとした。
「さ、佐野凛子・・・です」
そして、また恥をかいた。

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