これは大変なことになった。
友人が、涙を浮かべながら私に抱きついてきた。
どうも、とある男にフラれたらしい。
相手は隣のクラスの男子らしい。
とても珍しい名前をしていたのに、度忘れしてしまった。
かくなる上は聴きこみか。
隣のクラスの出入り口付近に待っていると、隣のクラスの生徒が一人出てきた。
「あの・・・」
「はい?」
クラスから出てきた男子生徒は、サングラスにアロハシャツで明らかにチャラ男といった風体をしていた。
この人に話しかけるのはちょっと気が引けるが、仕方がない。
「ツチミカドモトハルさんって、どの人ですかね?」
「んー、彼になにか用かにゃー?」
「い、いえ、ちょっと。気になったもので」
「あー!もしかしてもしかしなくてもファンだったり!?」
「そういうわけでは」
めんどくせえええ、というのが本音だ。だがしかし、ここは笑顔で乗り切ろう。
「いやぁ、うれしい限りだぜい!」
「へ?」
「いや、うれしいかぎりって・・・」
どういうことだ、なぜ“ツチミカドモトハル”のファンだと勘違いして、彼が喜んでいるのだ。
その瞬間、脳裏に嫌な予感がよぎった。
「あの、お言葉ですが、お名前は?」
「えー、さっき君が聞いた通りにゃー」
「へ?」
もはや、嫌な予感しかしなかった。
「そう、何を隠そう、この俺こそが!土御門元春だぜい!」
墓穴を自分で掘って自分で埋まる気分だった。

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