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20130331/たぬ


「ナニ、じゃあお前らオレの写真が欲しかったワケ!?」

半笑いのまま託朗を軽くいなし。
ゴメンネ、と謝りながら隼太に手を貸し助け起こす。
土や草を払ってやり、

「や、本気じゃなかったんだケドさ。怪我ない??」

極めて優しい口調の清流……。
なにしろ“犬質”を取られている。
取り戻さない限り下手は打てない。

「つーか何で? まさかオレのファンってワケじゃねーだろ?? 理由によっちゃあ全然撮らせてやってもいーかもだしさ」

隼太は隼太で、そんな彼の提案に素直に惹かれていた。
撮らせて貰えるのであればその方が断然良い。

大体“自然体”という部分に捉われ秘密裏での行動に走っていたが、よくよく考えれば特に口止めされてはいない。隠す理由はもとよりなかった。
……が、

「ケイ、さんに頼ま「はーーーーーー!!!?」

発言を素っ頓狂な叫びで思いっ切り覆い潰され今度は両肩を掴まれ力任せに揺さぶられ。
隼太は目を白黒させる。

「え、ちょ、ウソ!!? ウソデショ!!?慧ちゃんが!!? ……あ、スーちゃん? スーちゃんの写真ってコト??」

「ぅあ、え、えぇと、『犬もモジャ野郎も全部』って……」

「ちょちょちょちょっと待ってて!!」

最後にはポイ。よろけた肩口を託朗の右腕に支えられ、やっと落ち着いた。

当の清流はと言えば、髪や衣服を整え日光や芝の状態を入念にチェック。
何やら頻りに立ったり座ったり寝そべったり、ポーズを作っている。

「よし決めた! こっからこの……ちょい斜め上からのアングルで撮って!!!」

「し、“自然な感じがいい”って言っ」

「こ れ が オ レ の 自 然 体 だ よ !!」

何を馬鹿な。
反応に困り、表情を強張らせ……
そんな隼太の様、その理由を勝手に解釈する清流。

「そっか。それ色々金掛かるんだっけ? 今日はデジカメねーの??」

「え、っと、」

「あ、じゃあさ! オレの携帯で撮ってよ!!」

大興奮の彼は至極一方的で、問い掛けはするくせに返事をする間は与えてくれない。

手渡された携帯電話。
自撮りであろう待受画面には肩を組まれ頬を寄せられ迷惑そうな慧と、無邪気な表情で笑う清流の姿……
変に構えた作り物ではなく、つまり慧はこういった写真を望んでいるのだろう。


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