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20110118/きぃ


メニュー画面から、赤外線通信機能を起動。
受信体勢を整えて、隼太は顔を上げた。同じような風情の清流と、眼が合う。

「……、」

「……ん??」

若干首を傾げる。相手の送信を待つ姿勢で、再び長椅子に膝立ちになり、清流との距離を縮めると。

「センサー、カメラのとこ。」

隼太は言い添えた。
射抜く勢いの視線は、清流の携帯電話を持つ手に。
その指が操作の為、動き出すのを今か今かと追っている。

ぇえー……、

清流は刺さる視線から気を逸らす為に、努めて自身の手元から視界をずらす。
手持ち無沙汰な託朗が、静かに二人、というより清流を視ていた。
何だか妙な空気感。
こいつら何が狙いなの?意味不明の圧力を二人から感じ、内心勃発する敵対心を抑え、

虎穴に入らずんばなんとやらぁぁぁ!

自らを鼓舞し、いやに強い視線を向ける隼太に、人好きのする笑みを向ける。

「ぢゃ、先にそっち教えて?折り返し俺が送るから」

掛けられた言葉に、眼を瞬く。それの対象が自分だと理解すると、小さく頷き隼太は携帯電話を操作した。

通信完了の画面を確認し、不意に顔を上げる。
眼前で湛えられる、人懐こい、笑み。清流の表情に、驚きで隼太の眼が僅かに開いた。

「っ、」

「ん?」

横恋慕野郎。
わざわざ登録名を変更し、折り返しの空メールを作成しながら、清流は相手の動きを感じ取り、短く聞き返す。
送信画面から眼を上げると、呆けた表情の隼太が、口を開閉していた。

「ぁ、や……、何でも……、」

尻窄まりに消える呟きと共に、右往左往する視線。
些か強張る隼太に、胸中を悟られたかと清流の瞳が胡乱になった。

良いお兄さん、を貫き通す覚悟も新たに、重ねて無害を主張しようとする清流。
隼太の定まらない視線は、彼の向こうのドリンクバーカウンターをさ迷っていた。

「っう、わ」

大袈裟に肩を跳ね上げ、隼太は開いたまま震える携帯電話に視線を落とす。釣られて、清流もそれを見た。

余りの事に絶句する。

メールが届いた事に対してか、全身から安堵する隼太の携帯電話の受信画面には、それ用に加工されたのだろう、清流愛しの君が寵愛する件の犬が居た。

半透過の小さな吹き出しには、えへへメールだよ。とある。


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この物語はフィクションです
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