03
思い出していたのは
また家族のこと。
「アヤカは、“お姉ちゃん”だから
___のこと宜しくね。」
03:懐かしかったのは
「――?―――ッ!アヤカ!!」
『!!・・・あぁ、すまない。考え事をしていてな。』
「全く・・・。あ、このバイク久しぶりに見たなぁ・・・」
私が愛用している青の大型バイクに跨って、やってきたのはウィトウィッキー家。
正直言うといわれたまんま、
何も持ってきてないぜ(笑)
遠慮しろや、と思ったそこの君!!人生損するぜ?
って誰に話してるんだろこの馬鹿。
『だろ?えーっと多分1、2年前だったよな。何でこのバイクを使い始めたのかは覚えてないけど。』
ただ単に“バイクに乗りたい”と思ったらいつの間にか免許持っていてバイクに乗っていたのだから。ん?記憶力無いだけ?いやいや、そんなこと(笑)
このバイクはかなり古いのだが、私が燃費のよいエンジンに付け替えたところ、ぐんぐん走り出したのでこれを気に入っている。ちょうど好きな色だからねぇ...。
「…あれ、このエンブレム僕のカマロと一緒だ。」
『え?・・・でもこのエンブレム、バイクいじっていたとき工具箱に入っていたから付けたんだけどなぁ・・・。』
「同じメーカーなんかなぁ・・・微妙に似てる気がする。」
『あぁ・・・そうだ、車、見せてよ。』
「うん。そこの車庫だよ。見に行こう。」
古びた車庫の中。一体何年ほど放置しているのだろうかと思うぐらい、もろい。
『・・・ウワァオ、全く一緒。ミラクルだねぇ。』
「ホント、僕達なんとなく気が合うね」
『プレゼン中にオークションする奴に言われたくなかった・・・』
「ひどい!!・・・もうそろそろ、ご飯だな。家に戻ろう」
『あぁ・・・なんとなく、日本のアニメのロボットに似ているなぁ・・・』
「あぁ、ジャパンのアニメは面白いよね」
ふと、思ったことを口にしていた。
『世界を救うために、宇宙の彼方からはるばるやってきた正義のヒーロなんて・・・クスッ』
「アニメの見すぎ。」
すぐさま、突っ込まれたので“ジョーク、ジョーク”と呟いて、サム家に帰った。
一瞬だけ、車が動いたような気がした。
翌日。
朝、普通にサムと朝食を頂いた。
普通に会話していた。
普通にバイクを洗車していたが。
一本の、着信音が聞こえた。
誰だろう、と思い画面を見てみると“サム”の文字。
忘れ物かい?と答えるつもりだった。
しかし、あの元気な声ではなく、焦って息を切らしたサムの声。
『サム?どうした?』
「アヤカ、聞いて・・・僕・・・ロボットに・・・追われている・・・」
『は?』
なーに、言ってるこいつは。
『何が・・・大丈夫か?』
「大丈夫じゃない・・・どうしよう・・・・アヤカ、君が必要だ、助けて!!」
『・・・分かった、とにかく逃げなさい。たしか、廃墟があったはず。場所は分かんないけど、あんたを追いかける。それまで耐えなさい。いい?捕まったら容赦なく射殺するからね。』
「分かった・・・何で逃げよう・・・あ、ママの自転車がある!!早く来てよ?!!」
『友達だろう?』
ニヤッと笑うと、拳銃とナイフとかを鞄に詰めて、バイクに跨った。
『行くよ、雅≪ミヤビ≫』
相棒のバイクの名前をそっと呟いて、発進した。
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