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「あの車に世界の命運を賭けるか?ん?面白い。」
『滑稽だろうな。けど、

お前じゃあ、この戦争の結末を変えることはできない。残念だな、シモンズ。』



11:Say it again, looking into my eyes.




『バンブルビーは、あっちにいる!!』

そう大きな声で叫ぶと私は、バージェフやシモンズよりも先にバンブルビーが監禁されている倉庫へ走る。片手にはサムの腕。そしてサムの手にはミカエラの腕。まぁ、無理やりサムを引っ張ってきた結果である。バンブルビー・・・彼がいる部屋の扉を体を使って体当たりしてほぼ強行突破。


『「バンブルビー!!」』


「止せ止せ!!止めろ!!」
『今すぐそれを中止しろ!!拘束も外せ!!!』


悶え苦しむバンブルビー。作業員が大量に噴射していた冷気も治まり、拘束も外れた彼が乗っている台によじ登ると私は『ビーチャン、』と息を切らしながら呼びかけた。サムもミカエラも寄ってくる。彼らの心配そうな瞳にバンブルビーの青いアイセンサーが、さっきよりも酷く、暖かいものになっていた。


『こんなに冷たくなって・・・可哀相に。』


しかし、暖かいアイセンサーとは対称的に金属でできた彼の体は冷え切っていた。人間では低体温症で凍っていてもおかしくないレベルだ。あの時助けられなくてごめんね。そう彼に聞こえない程度の呟きと共に、手に込める力を少しだけ強くした。


『ふへぇ?!!お、おろせ!!』


私を大きな手のひらに乗せて、胸の前で守るように私を隠すと片手で下にいたミカエラやサムを掬い、私が乗る手のひらにそっと二人を置いた。

そして戦闘用だと伺える、フェイスマスクを勢いよくおろすと片方の腕をキャノン砲に変形させてそれをバージェフや、シモンズ、レノックスまでに突きつける。アイセンサーが捉えるのは―――紛れもない、私達3人以外の人間だ。警戒心むき出しの彼に『ビー』と声をかける。


「バンブルビー、この人達は敵じゃないわ。それを下ろして。」
《・・・・・・。》
「アヤカと、サムと、私を信じて。お願い、大丈夫だから。」


諦めたのか、彼は何の反応も示さずキャノン砲を下ろしてもとの腕に戻る。ゆっくりフェイスマスクをあげた。そして私達を下ろすとまじまじと、私達を見つめた。状況を説明しようと、サムがゆっくりと、あの大学の発表の時のように落ち着いた口調で話し始めた。


「バンブルビー。此処にはキューブがあって、ディセプティコンがこっちに向かってきてる。」


誰も、何も反応しない。ただ、しん――とした空間が私達を支配する。




「―――オールスパークの所へ、行こう。」










『・・・ミヤビ』
「どうした、聞いたことねぇトーンだな。」
『あのさ、今更だけどジャズみたいに変形できないの?』
「・・・・・・・・・。」
『黙んないでよ』
「いや、なれるぜ?マテリルはなれねぇけど。」
『あのサイズだし?』
「それもある。けどアイツは情報収集派だから、戦闘用に生まれたんじゃないんだ。」
『へぇ、でミヤビはなんでならないの?』
「俺は・・・。俺はディセプティコンでも、オートボットでもないからな。」
『え?』
「俺はサイバトロン星では自己防衛のために戦っていた。だから、いわゆる中立派。どっちにも、頼る理由がないから何処にも属さないって決めた。アヤカ・・・マスターが命令しない限り俺はトランスフォームしない、って生まれてきたときに決心した。」
『・・・かっこいい事いうよね。でも残念だね。アンタ、私のところに来なかったらそのトランスフォーム?やらずに済んだのに。』
「・・・俺はアヤカのところに来て一生後悔しねぇよ。」
『アンタが人間だったら私、アンタと付き合ってたかも。』
「ハッ、嬉しい事言ってくれるじゃねぇか。」



その背景には、バンブルビーがキューブを触ると、キューブが変形してみるみる小さくなっていた。たぶん、こんな状況で話しているのは私と簡易プログラムで変形したミヤビだけだろう。あぁ、コイツが本物の人間なら良かったのに。
その会話が終わると同時に、キューブは手に収まるほど・・・とはいっても"トランスフォーマー"の手に収まるほどなので。私達人間にしてみればでかい。



「《艦隊からのメッセージです》《始めようぜ》」
『・・・言ってくれるじゃねーか。ビーちゃん、運命は待ってはくれないぜ?もう、解けてきてやがるからな。』
「溶けるまであと数十分もないかもな、急ごうぜ、マスター。」
『あぁ。ジョン、ここらで一番近い街は?』
「35km先だ。そこに輸送してキューブを受け取ってもらおう」


そこしかないだろう、だって此処はキューブを、メガトロンを隠すためにわざわざ郊外に作られたダムなのだから。レノックスはさすが大尉である、他の隊員に的確に指示を出している。ジョンは空軍に応援を出すため移動したようだ。


『さぁて、ミヤビ、マテリル。私達は先に行くか。』
「・・・?何でだ?」
『だって、後ろにいたら、見晴らし悪いしさ・・・?』
「マスターわがままですよそれ。」
『と・に・か・く!!先行くぞ、ビーちゃん。エスコートは任せろ。』
「《あら、素敵》《頼むぜ、相棒!!》」


『ミヤビ、マテリル、トランスフォームだ!!』


そう頷くと、キューブが小さくなった時のような音で愛車のバイクと銃に変形した。バンブルビーは目を大きくさせて驚いている。だろうな、とは思ってたけど

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