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10

汚いものに、興味はない。
だけど、その汚いものが、自分だったとして。


10:So, what can you do?





どんどん、ジャズと離れていく。それだけしか認識できなかった。
自分が、今から捨て身覚悟でシモンズに殴りにいくと考えると正直言って、"触りたくない"。いや、笑い話ではない。ヒーローパンツオヤジなんか気持ち悪いの塊でしかない。しかし、やらなくちゃならない。これはパンツジジイより、大切なものを守りに行くのだから。マテリルに力を加えると、指にフィットするように変形した。おぉ、コレはいい。ビーちゃんがヘリで吊り上げられる。あと50m。



『ねえマテリル!!ナイフとかに変形できない?!!銃じゃ無理だ!!』
《そうでしょうね!!!!ジャパンらしく、日本刀で行きますか?!!にんにん!!》
《『そこでぼけないでくれ!!!』》
《ちぇ・・・はーいはい、分かりましたよ。》


日本刀に変形するマテリルに立ち乗りの私。それを支えるミヤビ。猛スピードで進むので風に何とか耐えられている。うへえ、今にも倒れそう。



「っ!!!何故来る?!!!キューブの監視をしてろといっていたはずだ!!」
『ヒーロパンツジジイの言うことは聞きたくない!!それに



言っちゃ悪いが、オールスパークより大切な仲間がいるんだよ!!!!』



ビーちゃんのワイヤーを日本刀で切る。ガコンと片輪が外れる。案外硬いためあまりずばずばっ、と切れない。くそぉ・・・。


「〜〜〜〜〜っっ!!!おい!仕方ない!!発砲しろ!!
「危ない!!アヤカ!!」
『げ』


シモンズの部下が発砲してきた。マズイマズイマズイマズイマズイマズイ!!!!!!!!!!!!!
彼ら、自分の上司より命中率高いんだよな・・・。命のピンチを感じながら右へ、左へ・・・。華麗にかすりもせずにかわしていく。マテリルを拳銃に変形して発砲していく。銃の使い方は彼らよりは上なので自信はあるが。


「包囲しろ!!撃て!撃て!!撃てぇぇぇぇ!!!」
『ったく、博士を撃とうなんて、どこのどいつが考えるんだよ・・・。』


撃ちながら、そう呟く。バカもいい度胸だ、しかし・・・シモンズの目が本気《マジ》だ。本気で撃ち殺そうとしている。死にたくはない、まだ18だし、いずれこんな私でも彼氏作って、結婚して子供を産んで・・・家庭を築きたいのだ。勝ち目はもう、ない―――。けど、足掻いてみよう。


『はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!』
「う、うわああああああああああああああああ」


もう一度日本刀に変形したマテリルを、振り回す。部下が発砲してきた。それを剣で跳ね返し、死なない程度に斬りつける。体力も、精神も、もう限界に近かった。けどやらなくては、使命感が心を蝕んできたそのときだった。


パン、と貫く銃声。
肩から吹き出る赤。
そして、襲い掛かる、睡魔。

どうやら、隙を狙って、肩に銃口を当てて撃たれたらしい。


『っ、く、そぉ―――!!』
「アヤカ!!!!うわぁ!!離せ!!離せぇ!!!」
「分かっただろう?アヤカ。お前は無力なんだ。未成年がそう、安々と世の中を変えるなんて、できないんだ。―――残念だよ、アヤカ博士。」
『・・・っ』


嫌に、シモンズの言葉が正しかった。そうだ、自分は好き勝手に動いてヒーロー気取って、助けられない、大ばか者じゃないか。自分じゃ、仲間も助けられないんだ。なら、なら私は・・・。




な  に  が  で  き  る  ん  だ  ?




薄れゆく景色の中、それだけが脳を支配していくのを感じつつ、赤い目の冷凍された"彼"が、なぜか脳裏を掠めるのが分かった。





   







誰かに揺らされて、目が覚めた。シモンズの話が長すぎてうとうとと、していた。どうやら、起こしてくれたのはさっき、仲良く(?)なった軍人のレノックスらしい。また、セクター7の基地である、フーバーダムのキューブが保管されているところに戻ってきた。私がキューブに手を突っ込んじゃってキューブを吸収してしまったところだ。すこーーーーーーーーーしだけ、小さくなっている。

その中には、ちいさな生命体。オプティマスや、ジャズと同じだが、同じ見学者のグレンのノキアの携帯電話に宿ったものだ。ノキアは日本製とか、侍の国とか言っているがフィンランドである。バカ知識もいいところだ。  


ちょっと暴れすぎてガラスケースが割れそうだ。そうシモンズに伝えると「分かってるわ!!博士!!」と、言われた。案外悪いことしてもペナルティを加えないので、扱いが楽だ。ぽち、とボタンを押すとガラスケースが発光してあたりが真っ白になった。バチバチ、と音を立ててグレンの携帯は真っ黒焦げになってしまった。


『・・・グレン、安心しろ。シモンズが弁償する。』
「そうしてもらわねぇとな。」


突然、ビーッとけたたましい警報音が鳴り響く。私の顔はきっと歪んでいるだろう。これは非常事態だ。


『・・・フーバーダムの活躍は此処までだったな。シモンズ』           「あぁ、アヤカ。」


こういうときしか、連携しないのが私達だ。


『バージェフ!!管理室に連絡を取るんだ!!メガトロンの格納庫の状況を知らせろ!!至急だ!!』
「はっ!!―――バージェフだ、どうした」


近くにあった通信電話でバージェフに連絡をとらせた。すぐつながったみたいで、この状況に追われているのか、バタバタしている。


「《NBE1の格納庫が停電し、サブパワーでは維持できません!!》」
「な、何?!!」


マジかよ、と顔が絶望に変わった。自分の顔は見えないがそんな感じがした。その時、隣にいたレノックスが「アヤカ、」と呼ばれた。


『どうしたレノックス。』
「君は、セクター7の関係者だったな?」
『まあね。シモンズに勧誘という名で連行されたから、快くは思わないけどね』


実はそうである。大学に通っていたとき、優秀な成績だと判断され、シモンズに勧誘された。しかし、そんな気分でもなかったため、断ったのだが・・・条件が良かったため"ま、いいや"で済ませたのがオチである。


「武器庫は、あるか?」

















「NBE1の保存庫へ急げ!!早く!!!」

バージェフが指示をだす。バージェフの後ろに私、ヒューマンモードのマテリルに、ミヤビ、シモンズ、レノックス――混乱する作業員もいるがとにかく全員が思っていることは同じだと思う。
キューブを守らなければ、人類の未来が危ぶまれる。武器庫で次々と銃に弾を込める。バン、という音が聞こえ天井の灯りが点滅を始める。マズイ、コレはマズすぎる。


『動力を、きられたか・・・。急げ!!』
「わかってる!!」


メガトロンに吹いていた冷機が停止されてしまった。もう、あーだこーだ言い合っている時間はない。時間との勝負だ。


「そこの40mmAPDS弾を使え!」
「弾はありったけ持て!運べるだけ運べ!!」


一瞬灯りが消え、全員が恐怖に陥ったのか、動きが止まる。サムも、ミカエラもどうすればいいのか、困惑している。


『サム、ミカエラ!!ビーのところに行け!!』
「何考えている!!アヤカ!!キューブに近づけたらどうなるか分からないんだぞ?!!!」
『んなこと、知るか!!地球外のものは地球外の生命の方が、扱いが分かることぐらい考えろよ!!』
「そいつに任せて、本当に地球が救えるのか!!」
『相棒!!!』


反抗しようとしていたシモンズの口が閉じる。私は、にやりと笑って、
















『相棒、俺を信じろよ。お前は俺の誇りなんだ。』










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