06
真夜中の郊外の道路には出来たてほやほやのカップルを乗せたシボレー・カマロ。
その後を追うかのように一台の黒いバイク。
06:金属生命体はすでに自分の近くに住み着いていました。
余談だが
特攻野郎、と小中学校と続けて呼ばれたものだ。
喧嘩があれば飛び込んで一瞬で片付けるし、他の学校の奴からも絡まれたものだ。成績は何があっても進学できるような成績には収めていたし、問題は無かった。
正直言って、自分はそんなゴタゴタに犠牲になりたくない。
ただ、弱いものいじめが嫌いなだけ。クラスの皆が私を避けているにも関わらず接してくれた子がそのことで苛められていたのを力で解決しただけ。へんな期待をもたれてしまったおかげで特攻野朗・・・。
『こんなゴタゴタに巻き込まれたくはなかったなぁ・・・』
「「だよなー。/ですよねー…。」」
・・・・どこから声がした。他の車と並走なんてして無いぞ。
「「ここだ。/此処ですよ。」」
『・・・うわあぁああぁぁぁぁぁぁぁあぁあ!!!!?』
正体はバイクと特殊改造したライフル。アサルトライフルとアンチマテリアライフル、マシンピストルの利点ばっかりを取り入れたんだ。愛称は【マテリル】
『どこから来た!!!!うわッ!!俺のマテリルがあぁぁ!!変形したあぁぁぁぁ!!!』
「落ち着いてください!!アヤカさん!!今から詳しい事話しますからぁ!!」
『分かったからちょっと待て!!』
『つまり・・・、セクター7って言う国家機密の組織があのロボットたちが奪い合っている・・・"キューブ"ってのを持っていて・・・。その座標を示してあるのが"サムの眼鏡"。』
「はい、飲み込みがはやいですね。」
『で、お前らがその組織のキューブを使った実験でできた金属生命体、と・・・。』
「そうです!!!僕らは運よく組織から逃げてきて、その近くにあったこのバイクとライフルに・・・」
『変形した、と・・・。』
うへぇ、厄介なことになったなぁ・・・と溜息をつく。このごろ何かと引っかかってばっかり。さっさと終わらせて帰りたいのだがぁ・・・。
「帰らせませんからね。ブライト、スピードあげてください」
「よっしゃ分かった!!」
『ちょ、まっ、ひいぃぃぃいぃいいぃぃいぃ!!!!?』
そして、俺は気づいた。
あのシボレー・カマロから離れていることを。
言い換えると、別方向へと走り出したのだった。
『・・・!!!!?おい?!!!どこ行くんだ?!!!そっちは別方向じゃねぇかよ?!!!』
「知ってますよ。だから行くんですよ、セクター7に。」
『いやいやいや、今からカマロちゃんについていくんでしょーが?』
「・・・自分では知ってるくせに・・・。マスターが・・・」
『いつの間に、“マスター”呼びになったんだよ・・・まぁ、確かにな』
最近、"あいつ"とケンカして全然行ってなかった。
一応勤めていた会社なのだが今まで知らないふりをしてしまった自分に謝ろう。
久々に"NBE-1"とも話したいからね。
ほぼ、あきらめたようにハンドルに突っ伏すとそれをチャンス、と思ったのかブライトはそのまま目的地にまっしぐらに走り出した。
そうだよ。
俺は セクター7の博士だ。
*一方*
「・・・ねぇ、バイクの音がしないよね?」
「アヤカ、ちゃんといr・・・・いないよ?!!!!」
≪"なんだって?!!!""いますぐ""追いかけなければ・・・"≫
「・・・大丈夫。きっと用事を思い出して帰ったんだよ。僕にGPSがついてるから迷子になるはずがない
故意的な行動じゃないかな?」
「そうね、あの子色々大変だものね。いいよ、行きましょう?」
≪"・・・わかったよ嬢ちゃん""行くよ"≫
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