02


池袋・稲葉家敷地内道場―――



いつの間にか、眠ってしまっていたようだ。


何日ぶりにこんなにぐっすり寝ただろうか、と目をこすってみる。
密集しているのに加え、異常な人口密度のせいで、常に蒸し暑い東京はただいま夏真っ只中。

ひんやりと、伝わってくる床の冷たさが心地よい。早朝の練習で暑さに耐えられなくなり、床に倒れこんだ際、その冷たさに眠気が襲ってきたのだろう。道理で白に紺の袴を着ている。


『・・・また、隈できてるって、静雄に怒られちゃうな。』



ちゃんと・・・・今夜は布団で寝よう、うん、それがいい。重たい身体を起こし立ち上がる。
今日は、静雄と一緒にやる仕事は無い。バンドの練習もないし教室もしばらく昼は休み。ましてや、任務もない。久々の休日をどう過ごそうか、と竹刀片手に顎に手を沿え、道場を出たとき。




沢山の人のにおいと、生臭い血液の匂いがして



床のひんやり感とは違う感覚が首筋に感じた。



『―――ッッッ!!!!!』


思い切って竹刀を首筋の後ろへと振り回す。首筋から紅いのが垂れたのは気のせいだ。
竹刀を向けた先には・・・。


迷彩柄・・・・・・・?


『・・・日本刀じゃ無かっただけ助かったと思え。』

「・・・あんた誰?」

『その台詞、そのまま返す。』




なんか・・・・うん、忍みたい。ヴァローナが興奮しそう。



クナイが3,4本投げられたのを竹刀ではじき返す。なんだよ、銃刀法違反じゃないか、
あ、人のこと言えないな。私も違反してるしな。

しかし・・・。

帝人や正臣が必死で語ってくれたゲームのキャラクターと特徴が似ている気がした。何だっけ、戦国BASARAとかそういうのだったと思う。おいおい、なんだ?ワゴン組が必死に叫んでいる"トリップ"っていうやつか?


「よそ見なんてしていいの?」

『あ…ッ!!?』


一本の苦無が利き腕の右腕に刺さり、竹刀が手から滑り落ちる。


武器無し、あっちは苦無


猿みたいに器用に動く猿(可笑しいのは気にしない)。お前、京都太秦の映画村の忍者屋敷で働いてこい、と突っ込みたくなる。





しかし、その突っ込みを最後にその後どうなったか覚えていない。

























気付けば、みぞおちを抱えて気を失う猿が倒れていた




…やっちまった…。





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