06


「――――というわけ。」

『"はい、そうですか"で理解できるとでも思ったか。』


うむ、さっぱりだ。何だ本当。死にかけて理解ができていないに加えてそんな事いわれても・・・


『現実逃避したいよ・・・。』
「解るけどさ、そう言えばアンタ此処何処?」
『なんて言えばいいか・・・あぁ、いい言い訳あったよ。

あんたらは異世界の未来に来たんだ、以上。』

「余計に分からないよ、嬢ちゃん。」
『アタシがあんた達をこの世界に飛ばした訳じゃないから知らないわ。なら張本人が詳しいはずだわ。誰だよ、こんな事したの…。』
「すみません、僕です。」
『あら、案外あっさり吐いたのね・・・









誰?』


ふと背後に聞こえた声。あたしの背後にはTVしかないわ・・・と思っていたら、イケメンが中にいるではないか。っておいおい、これは逆ハーか。


「僕の所為なんです。それを説明しにきました。」
『てめぇ一発お見舞いしたいからTVから出てこい』
「落ち着いてください!僕が死んだらこの武将達帰る術無いじゃないですか!?」
『うぐっ・・・。』


腹の中から沸々と沸き立つ苛立ちを押さえつけてそれを紛らす為、腕に爪を立てる。そうしたら、じいちゃんからのプレゼントが粉々になる、唯一の形見を壊す度胸がない。


「実は武将達の世界、婆沙羅界が粉々に砕け散ろうとしてるのです。」



「「「「「「『!!!!!!!!!!?』」」」」」」」



『なんとも、まぁ大事な・・・。』

「たしかに大袈裟に聞こえますが、事実、それが証明できるのが彼等なのです。
時空の歪みの原因は婆沙羅界からの婆沙羅と呼ばれる力だと予測されます。
・・・えと、貴女お名前は?」

『アタシか?あぁ、ついでに自己紹介だけしておくよ。あんた達の名前は知ってるからね。』

というと、TVに釘付けになっていた身体を彼等に向ける。

『あたしは稲葉家35代目当主、稲葉紅葉だ。よろしくな。』

「「「「「「「!!!!!!!」」」」」」


何に驚いたか知らないが用は済んだのでTVの中の人・・・自称神←に目配せする。


「・・・紅葉、頼みがある。彼等とこうするのも何かの縁だ『良いわよ、そんな遠慮しなくても、引き取るわよ』・・・!!!」



『ちょうど"アイツ"と別れたからね。それに、じいちゃんも死んじゃったから、賑やかじゃん?』




愛想笑いで、"アイツ"に対する憎しみを紛らわせた。それしかなかった、としか言いようがなくって。

「・・・そう。ならお願いするよ。何か困ったことがあれば"リモコンのdボタン"押してね。」
『は?あ・・・分かった。何か、こいつらに話すことがあれば話しておいてよ。少し、席をはずすから。』





リビングを出た瞬間、頬に何かが伝ったなんて、信じたくないなぁ。

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