05


慶次side


「・・・う、そだ、」


あの少女の発した言葉に、

あの少女の鎖骨の刻印に、


絶望と、希望が入り混じったような感覚がした。


「・・・前田?」
「どうしたんだ?目を見ひr「久しぶりだな…」・・・は?」




「あの子・・・落ちる前に、久しぶり、って・・・」






『・・・久しぶりだ、な』





「「「「「――――――――!!!!!?」」」」」





声にならない驚きが、武将たちを襲う。久しぶり――――そんなことある訳ない。見る限り武装した様子もない。知り合いなワケがあるまい。そう思ったはずだ。
 

「それに・・・・あの子の鎖骨に、刻印が見えたんだ。"三日月に紅葉"の刻印がね・・・。

真田の忍!その子の鎖骨に刻印がないかい?!」


真田の忍に話を振った。反応を見たくなかったのか、先に事実確認をしたかったのか。とりあえず、信じたくなかった。


"あの日に失ってしまった大切な人"だって。


「・・・三日月に紅葉って・・・




もしかして、紅葉ちゃん?」




"稲葉紅葉"

戦国時代、唯一武士という立場でありながら、稲葉家の城主でありながら武道家として剣を振舞った女剣士のこと。天下を取るためでもなくただ、剣を振った。


真田の忍は本当に紅葉ちゃんなのか、混乱している。ギュっと抱きしめたり鎖骨の刻印を見返したりしている。けれども止血の手は緩めていない。



「そんなことないよ、だって紅葉ちゃんは―――――――!!!!!!!」



* * * * * * * *



『…ん、ぅ?』


あ、空が白い。なんか体が軽い、ふわふわする。

あぁ、極楽かな…あると信じて生きていたから後悔はないけどケンカしか楽しめなかった。静雄と臨也とのケンカ楽しかったな…。





ピリッ





『いだだだだだだだだだっっ!!!!!!?』
「あ」


何かが傷口に塗られて染みたが、深かったのかこの世の痛みじゃないほど染みた。いつもは血の処理してからの放置なのでなれない痛みに悶絶していた。


「大丈夫?」


優しい声が、心を震わせた。

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