※暴力表現有※

いつからだろうか、南沢さんが私を傷つけるようになったのは。
前は、確かにちょっと意地悪だったし、モテるから他の女の人によく告白されてて嫉妬とかはしていたけど
でも今はそういうのなんかじゃない

そうだ、南沢さんがこうなったのはサッカー部でのあの一件からだ
入学式早々、雷門サッカー部のセカンドチームは新入生一人にボロボロにされた。
その後、雷門のファーストチームもその新入生のチームと戦って

結果は相手の棄権での勝利

それでも雷門サッカー部は重大なダメージを負ってしまった。
南沢さんがおかしくなり始めたのはその頃から。

前はとっても優しくて、私の前だとよく笑顔を見せてくれていた
だけど今は、私の体は、生傷が絶えない。
見えるところには傷をつけないのがせめてもの救い、でもクラスメイトの茜ちゃんはいつもと違う私に少しだけ気が付いてるみたい、茜ちゃんの観察力は神童君にだけ向けられてた訳じゃなかった事と、友達として大切に思われてたことがわかったけど
今これを勘付かれるのは私にとって問題だ。

「名前ちゃん…」
「あ、ごめん茜ちゃん、私今日早く帰らないといけないから…」

嘘は吐いていない、今日は部活がないから南沢さんに早く来る様に言われていた、それでも心配してくれる友達への罪悪感が私を苛む。
「ごめんね、茜ちゃん…。」

「遅い」
「…ごめんなさい」

裏門に行くと先輩はもう来ていた。笑っているけど目が笑っていない、凄く怖い。
「ほら、早く行くぞ」
部活がない日は毎日と言って良いほど南沢さんの家に行っていた。普通恋人の家に行くなんて甘い雰囲気になる様な気がするけどこれから待っているのは苦痛だけ。
それでも呼び出されたら行って、殴られたり、切られたり、抵抗をしないのはそれだけ私が南沢さんが居ないと駄目だから、優しかった南沢さんが忘れられないから

南沢さんが私を必要としてくれている実感を持てるから。

「なあ、今日は何をしようか?」


貴方の笑みに逆らえるわけがない

(もしかしたらこの行為を私は待ち望んでいたのかもしれない)
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