※男主人公でホモ夢※

「霧野ってホモなの?」
「ぶっっ!」
飲んでいた茶を盛大に噴出されたことはこの際無視だ。
昼休み神童が職員室に呼ばれていて珍しく一人だった霧野に何気なく声をかけてみたのが事の発端。
いつもなら職員室前まででも着いていくのに本当に珍しく教室に残っていたからだ。
傍から見たらこいつと神童の関係はかなり異常だと思う。
一体いつから一緒なのかは知らないが少なくとも俺は小学校から一緒だったのであの二人の異様さを少なくとも7年と少しは見ていることになる。

泣き虫でメンタルが弱い神童は小学生の時恰好のイジメの的になった。毎回長引くことはなかったがそこで霧野が登場する。こいつは自分も神童を弄るときがある癖に他人が神童を泣かすことにかなり、過剰に反応する。
というか子猫の鳴き声を聞いてどこからともなく飛んでくる母猫という例えをすればわかるだろうか、いや分かり辛いか。とにかく神童のイジメ関係は全て霧野が暴力…全て霧野が解決させていた。ついでに言うと下駄箱のラブレターやバレンタインのチョコレートも霧野が証拠隠滅しているのを俺は発見してしまって殺されかけたことがあったりする。

「お前な!何でホモとかそういう発想が出てくるんだ!」
「いや、皆言わないだけで思ってるって、ていうか俺何回かツッコんでたし」
「じゃあ苗字、例えばどういうところがそう見えるんだ」
粗方行動の異常さを説明してもこいつは「昔からそうなんだから今更」と言う、というか前に言われた。
「前に説明した通りお前が神童に過保護すぎるところ」
「仕方ないだろ」
「昔に比べて神童は霧野離れしてると思うけど」
ぐっと口を噤むのを見て(ああ、自覚はあったのか)と少し関心、こいつにもまだ状況を把握する力は残っていたか。

「あとは…お前の見た目」
「あ゛?」
「神童も中々だけどお前は論外、いい加減学ラン見慣れたけど違和感の塊」
男でツインテール。ぶっちゃけると顔立ちもこいつの場合女にしか見えない、けど水泳や体育の着替えで体は男なんだと嫌でも理解させられるから世の中の理不尽さを感じる。
「とりあえず、俺はホモではない」
「本当にか」
「本当だ」

ここまでやり取りをしていたら狙ったのかと疑いたくなるタイミングで神童が戻ってきた。横に居た霧野はそれを発見するなりさっさと居なくなっていてぼーっと何やら話している二人を眺める。


俺は霧野ならホモになってもいいんだけどな
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テーマ「人外ファンタジー」
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