サーフの食べ方は見かけによらず、結構豪快だ。狩った獲物を腕から引きちぎり、その部位の繊維に沿って裂くように噛みちぎり、食らう。
その時には銀色の身体が、真っ赤に、疑い様もなく真紅に染まる。その色は勝ったことを示す勝者の色だ。
紛れもない悪魔であるが、彼はたしかにその時、気高き勝者になっていたのだ。
がつ、がつ。がつ、がつがつ。
一心不乱に食い続ける彼に、俺は、ぞくぞくした。
ああ、彼の口元が、手が、真っ赤に染まっていく。俺の色だ。今まさに奴は、俺の色に、少しずつ真紅に染まっているのだ。
(そうだ、それでいい)
我らがボスは、強くなければいけないのだ。奴と俺は唯一の対等な関係を持っている。
そんな奴が、この程度で尻込みするようなやつではないことくらい、分かっていた。
その獲物がサーフの手によって血肉の塊となり、残骸と成り果てるまで俺は見惚れていた。
いつか手にかけられる時が来たら、俺はああやって食われてしまうのか。
考えるだけでも血が煮えたぎるように熱く、背筋に甘く、痺れるような刺激が走る。
「…それでもいいかもな」
つぶやいた言葉はほとんど無意識に近くて、誰が何を言うともなく虚空へ消えていった。
咀嚼音50題より
3.がつがつ
どえむっぽいひーとと物分りの良いさーふ