ぷいっと顔を背けられ、月島はイラッとした。
「ちょっと。ぷいってしないでよ、ぷいって」
月島は、背けられた顔に手を伸ばし、その柔らかな頬を摘まんだ。
「可愛いんだかムカつくんだか分からないからやめてくれない?」
柔らかな両頬を摘み、横に引っ張る。
餅のようにのびる柔らかな頬に、思わず口元が緩んだ。
「ちゅきひま、ひはい!はにゃへ〜!」
むにむにと頬を伸ばしたその姿はまるでハムスターのようで、思わず心が和む。
ぷりぷりしているのが小動物めいていて、余計に心が揺れた。
「日向さぁ、分かっててやってるの?」
まるで誘うような仕草の連続に、誤解をしそうだ。
嫌いと言うなら、それらしく振舞えばいいのに。
微かに頬や耳が赤くなっているのだから余計に誤解を招く。
これは照れ隠しなんじゃないかって思うでしょ。
月島は、ジタバタする日向を背後から抱き締めた。
側から見たら羽交い締めにしているように見えるかもしれない。
嫌なら嫌がればいいのに、日向はそうしなかった。
月島にされるがまま、ちょーんとおとなしく腕の中に収まる。
そのくせ、顔だけは嫌そうに顰めて目を合わせない。
なにがしたいわけ?
再び頭をもたげる苛立ちに、無意識に腕に力が入った。
「ねぇ、何があったわけ?急に嫌いとか言われても意味が分からないんだけど」
宥めるように柔らかな髪を撫で回したら。
不意に日向が口を開いた。
もしょもしょと聞き取りづらい言葉を聞き逃すまいと耳を澄ます。
「月島、普段の俺だとガキだとか言うから……山口に相談したら、ツンデレとかいいんじゃないって、言われてっ」
感情が高ぶったせいなのか、日向の瞳が潤む。
綺麗だなと思うのと同時に、舐めたら甘いんだろうかなんて愚かな考えが過ぎった。
「はぁ」
僕も大概だな。
「な、なんだよ……」
居心地悪そうにモゾモゾしている日向を改めて抱き締めて。
月島は背後から耳元へ囁いた。
「回りくどいことしてないで、僕に聞きなよ。僕の好みなんて、山口が、わかるわけないでしょ」
ちゅ、と、柔らかな頬からキスを奪い。
目を白黒させる日向に、柔らかな笑みを向けた。
「つき、しま……」
「そもそも、僕は今、日向の恋人なわけで。これ以上どうしたいって言うんだよ」
うぐ、と息を詰める日向に、月島は問い詰めた。
責めたいわけではない。
だが、可愛い恋人に嫌いと言われては流石の月島も多少は思うところがある。
少しくらいの意地悪は許されてしかるべきだ、と。
そんな月島の思いなんて知らない日向は。
後ろから抱きしめる月島にくるりと向き直ると。
真っ赤な顔ででキッと睨みつけるように月島を見上げ、その胸倉を掴んで引き寄せた。
「ちょっと、なにす……」
「…………」
「え」
耳元へ囁かれた言葉に絶句する月島に、日向はふふんと笑いかけた。
してやられた月島だったが、もうやり返す気力はなく。
真っ赤な顔を隠すべく、ニヤニヤしている日向をぎゅうと強く抱き締めたのだった。
終
【コメント】
Twitterでみの様が間も無く誕生日だと知りまして。細やかながらお誕生日のお祝いに月日SSを書かせて頂きました。
普段、月日を書いている方に月日をプレゼントするのは恐れ多くて気が引けるのですが……宜しければもらってやって下さい。
みの様のみ、持ち帰り可です!
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恐れ多くも誕生日のプレゼントで「好きで、大好きで」の篠竹様より月日ちゃんをいただきました…!ツンデレなひなたん可愛すぎて幸せです;;;;素敵な月日ちゃん、ありがとうございました!
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