今か今かと待つ部員の瞳はどれも輝いて見える。
そんな周りを見ていた時だった。
気が付いた時には、お待たせしました、と言わんばかりに笑顔の音駒の監督の合図をスタートに全員が用意された肉目掛けて飛びついていた。
「肉肉ーっ」
それは日向も同様。
皿を片手に動き回る日向はどうしても小動物みたいで笑えてくる。
「食べないんですか」
ふと横から投げ掛けられた声にそちらを向くと腰に手を当てた月島がいた。
「お前は食べないのか？」
バーベキューを指差して言うと 月島は顔を歪めた。
「日向を見ているだけでお腹一杯です」
溜め息混じりの気怠げのある言い方をして眼鏡を指でくいっと上げる。
確かに始まったばかりなのにあっちこっち行って食べ漁る姿には驚愕したが。
別に日向を指差した訳じゃないんだけど…。
「まぁ、確かに良い食べっぷりだ」
「うざったいくらいです…」
「だから日向の名前出したのか」
腕を組んだ状態で日向を見ながら言うと 視界の端で月島の体が強張った。
「俺、さっき日向指差した訳じ
ゃないからね」
「な、」
固まって失敗した、と座り込む月島を見下げる。
「日向可愛いから目に入るけど」
ちらっと日向を見ると 音駒のセッターを引きずっていた。
嫌々ついて行くプリン頭のセッターに もっと食べなきゃ!なんて言って日向は笑う。
思わず俺の頬も緩む。
「…可愛いって男に言う台詞ですか」
苛立ったような声が下から聞こえてきて 月島を見てみると瞳が平和じゃなかった。
「日向は別物だな」
「どーゆー意味で？」
真っすぐ前を向いて言う俺に 月島が感情のない瞳で凝視してくる。
「さぁ。どういう意味だろうな」
意味深に笑いながらゆっくり伸びをするとバーベキューの美味しそうな匂いが鼻をくすぐった。
「…日向、渡すつもりはないんで」
「じゃあ、ちゃんとテリトリーに入れないと」
一歩踏み出して歩き出す俺に驚いて月島が勢い良く立ち上がる。
「俺が盗るよ。」
小さく呟いて、さっそく日向の方に駆け足で向かうと 後ろから彼も追ってきた。
「あれ？赤葦さん？どうし、うわっ、月島!」
さっきまで居たプリン頭のセッターは端で座り込んで食べていた。
それを見計らって来たわけだが。
俺の後ろにいる月島を
見ながら 日向が顔を苦く歪める。
「暇だから来ただけ。それにお腹空いたし」
「だからって何でこっちに来るんだよーっ」
「まぁ、良いだろう？」
俺が日向の頭を掻き回すように撫でると 日向はくすぐったそうに笑った。
まあまあ大胆な行動に出た俺に月島が後ろで舌打ちをした。
かなり目立つ舌打ちだった。
そんな月島を置いて話を続ける。
「良かったら一緒に食べないか？」
「えっ？ほんとですかっ？」
やったぁ!!なんてはしゃぐ日向を見て 月島が一歩前に出てきた。
荒々しい一歩は足元の砂利を勢い良く踏み潰した。
「僕も良いですかねー赤葦さーん」
さり気なく日向の頭に置いていた俺の右手を払いのけて 月島が言う。
「別に良いよ」
余裕たっぷりに笑ってやると 月島もニヤリと嫌に笑った。
一瞬だけ黒尾さんに見えた。
「あー、でも赤葦さーん、木兎さんが待ってますよー」
適当ですけど。
日向の腕を掴んで引き寄せながら黒く微笑んだ。
一瞬、日向がキョトンと月島を見上げて そして、頬を膨らましムッとした。
「なら木兎さんも呼べばいいじゃねーかっ」
「僕、今木兎さんに会いたくないから」
「賛成だな」
頷いた俺に２
人の視線が集まった。
「あの人がいると日向を盗られる」
「じゃあやっぱり赤葦さんが木兎さんのところに、」
「行かないけど？」
始まる前に配られた箸で日向の皿にある焼き肉を取って 日向の口に運ぶ。
素直に食べた日向は嬉しそうに微笑んだ。
ただ 頬に少しタレが付いてしまった。
取ろうと指を近付けたそのとき。
ぐいっと俺から日向が離れて 代わりに月島と日向の距離が近付いた。
と思ったら、
「…っ!?」
ぺろりと月島が日向の頬のタレを舐め上げた。
真っ赤になった日向の顔と耳を見つめながら 月島は俺を見ながら言った。
「僕の方がこいつに懐かれてると思うんですよねー」
「…んだと」
そんなの当たり前だろ。と言うのは 何だか負けを認めたみたいで言わなかった。
代わりに睨んでやると 月島も睨み返してきた。
「よくもまぁ自分の箸で餌付けしましたね。恥ずかしくないんですか」
先に口を開いた月島が嘲笑気味に笑う。
「お前もな。指で拭うくらい出来ただろ？」
俺が瞳だけで嘲笑すると苛ついたのか 月島が笑みを消した。
何だやるのか。
そんな空気になった瞬間。
「チビちゃん確保ーっ」
黒尾さんの声が耳障り
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この度は相互リンクありがとうございました！
素敵な赤日月……最高です(真顔)
バーベキューでの話が一段と美味しくなっていて幸せです〜！これからも当サイトをよろしくお願いします。
ありがとうございました！
14 0721
蜂蜜レモンと砂糖 みの
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