単体では輝くことはない。
だが、太陽の光が強過ぎれば。
月は認識されにくくなるのだ。
日向が輝けば輝くほど。
自分が平凡なんだと思い知った。
あんな小さな体でびっくりするほど跳ね回る。
それが、今は。
目の中でスヨスヨと寝息をたてる日向に、月島はふぅと溜息を吐いた。
もうすぐテストで、赤点の恐れがある日向に頼み込まれて勉強をみていたのだが……ちょっと目を離した隙に寝ていた。
おそらく、授業中もこんな状態なんだろう。
『朝からあれだけ跳ねてれば、ね』
ただのランニングでも。柔軟でも。サーブ練習やレシーブの練習でも。なんにでも全力な日向。
もっと力を抜けばやり易いだろうに、と思う。
だけど、あの影山にすら全力を、休みを許さない日向だから。
力を抜く、なんて言葉は日向の辞書にないのだろう。
開け放たれた窓から、心地よい風が吹いて、日向の髪を揺らす。
ふわふわ動くそれがやけに気持ち良さげに見えて、月島は思わず手を伸ばした。
『うわ』
想像していたよりも柔らかな毛先。
猫っ毛、というのか。
ふわふわしたヒヨコみたいな毛質に地味に感動する。
意地悪してグリグリと頭を撫で回すことはあっても、じっくり毛先を弄ることは初めてだ。
この柔らかな髪に頬ずりしたら気持ちいいだろうな……。
そんな邪な想いを抱く。
実のところ、月島は日向が嫌いじゃない。
むしろ、好きだと思う。
そもそも、好きでもなければ構いたくもないのだ。
最初こそ圧倒的存在感を放つ影山にちょっかいをかけていたが、それはいつの間にか日向にしか向かなくなっていた。
『末期、かな』
ふぅ、と諦めにも似た溜息。
深々と吐いたそれは日向の髪を揺らした。
『ん……』
こそばゆい感触に、日向がモゾモゾと動いた。
休み時間の終わりまでそう長くない。
日向だったら一問解けるか解けないかくらい。
それならば、と。
月島は日向を休ませることにした。
せめて、今くらいは。
自分のそばで。
終
【コメント】
みの様からの相互リンク記念に頂いたリクエスト、月日SS。
最近、月日のリクエストが続いてますね(笑)
相変わらず素直じゃないツッキーです。
みの様、よろしければお受け取り下さい。
相互リンクありがとうございます。
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篠竹様、この度は相互ありがとうございました!それだけでも嬉しいのに、さらに月日を書いていただけるとは………!飛び跳ねて月まで行けそうです。
本当ありがとうございました!
14/ 0706 みの*
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