甘くてとろけそう
「日向、口開けて?」
優しい優しい声が上から降ってくる。おれはこの声が大好きだ、ふわふわと宙に浮くような感覚に陥るからだ。おれは素直に言葉に従う。
「良い子」
ころん、と音を立てて口の中に何かが入ってきた。甘い、独特の玉である。イチゴの味だった。
「ふゃめら!」
「正解」
口の中に物入れて発音するとこもるような言葉になってしまうが彼は、分かっているようで、笑顔で返してくれる。
「疲れた時は甘いもの、ってね。日向、イチゴ好き?」
「好きです!」
「なら良かった」
彼はそう言うと、おれの顔に顔を近づけてきた。目と目がかち合う、彼の目には、驚いたようなおれの顔があった。
「…可愛い顔」
「へ?!」
ポツリとつぶやかれた言葉に、びっくりして反応し返すと、彼は爽やかな笑顔を向けてから言葉を続けた。

「日向、キスしていい?」

あなたにならなんだって構いませんよ、なんて従順なセリフを言うのは怒られる気がしたからやめた。俺のものになって、と言う癖に、自分は大切にしなというものだから、いっそのこと彼が自分という存在の決定権になれば良いのにと思った。すでに優先順位は彼と決まっているのだから。
「…いいですよ」
彼はありがとう、と言って自分との距離を縮めた。そして引き寄せるようにして口を合わせる。
「ん……」
短いリップ音がして、触れ合った部分には彼の熱が移ったみたいに、熱い。顔を上げると、嬉しそうに微笑む彼の顔があった。
「日向、可愛い」
きっと本心から言っている彼に、恥ずかしさがこみ上げてきて少し顔をそらせる。そういう菅原さんはかっこいいです、と言うと彼はぎゅっと抱きしめてきた。

ちょっといたずらっ子みたいに笑うところ、副主将としてチームの良いところや悪いところ、個人へのアドバイス。後輩に対しての先輩らしさ、そして怠るところのない自身の努力。

全部全部含めて、俺は菅原孝支という人が好きなんだ。と、彼の腕の中でそう思った。





end


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相互してくださった篠竹様への捧げ物。お粗末様でした。
お持ち帰りは篠竹様のみです。


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