『お昼寝日和』



「あ〜めんどくさいなぁ…なんであんな髭に会わなきゃ行けないんだろう」

文句を言いつつも、私は目的の場所へと向かっていた
今更帰るわけにもいかないし、なにより帰ったってどうせ
又ココに来なきゃ行けないのだ、結果が同じなら早めに済ませたい

だけども早く着きすぎた様だ、何処かで15分ほど時間を潰さなければならなかった
今日の太陽は暖かくて絶好のお昼ね日和、目の前には屋根上へと続く梯子
こうなったら思いつくのは一つだろう?

全ては気まぐれ
だって遅れても、早く着いたって

私にはどうでも良かったから












そんな気まぐれ≠ノ感謝する日がいつか来るのだろう











「…ぇ」

思わず声に出してしまう、何故なら屋根上に上がった瞬間見えたのは
いつもの平らな屋根上に寝転がっている少年だったから、でもその少年から返事はない
不思議になった私は上から覗きこんで見ると、少年は寝ていた
仮面らしきものを付けてあるが、この際気にしないことにする

「良く寝れるなぁ…―――うわっ!!」

次の時、青い空と緑色の髪が視界に広がる
どうやら私は寝ていた少年に押し倒されている様で、少年の髪が軽く顔に触れた
どうすればいいか混乱していると、少年の口が開く

「誰、アンタ?」

声は少年のものだ、でも私は声が出せなかった
否、何を話せば良いのか分からなかった

「あ、私起こすつもりは無かったんだけど…」

とりあえず無言のままではいけないだろうと思い、適当に言葉を発する
でも、やはり少年から返事は無い。
怒らせたとも考えたが、それは違うだろう
そもそも何時までこの体制でいれば良いのだろうか?
背中が痛くなってきた私は相手を刺激させないように敬語で

「退いてくれませ「アンタさ、ヴァンの言ってたナナシだよね」

いい加減、怒りたくなった

「あのさ…退いてよ、後。人の話は最後まで――聞け!!」

言いたいことを言ってから
私は相手を屋根から落す勢いで足を上へ蹴り上げその勢いで立ち上がる
だが少年はそれを華麗に避け、平然と何も無かったように立っていた

「僕とアンタって初対面だよね、いきなり蹴ることはないんじゃないの?」

無邪気な子供のように少年は笑った、最も変な仮面のせいで顔はよく分からなかったが

「アンタじゃなくて私はナナシ・ムメイって言う名前が―――」
「ふ〜ん、じゃあさナナシ」

又、話の途中で話され苛立つが
それよりも突然名前を呼ばれ、不覚にも動揺してしまっていた

「顔、赤いよ?」

何時の間にやら後ろに立っていて、耳元で囁かれる声に、顔が熱くなるのを感じた
あわてて振り返りつつの回し蹴りを放つがそれも避けられる

「あははっ、図星なんだ」
「…にゃろ」

と、その時突然思い出した
すでに15分以上たっていることに

「ああもう!!誰だか知らないけど…また今度っ」

そういい残し私は屋根から飛び降りた、その後少年がなにか
呟いていた様な気がしたけれども、聞かなかったことにする

今は早く目的の場に行かなければと考えていたから
…だけどそれは言い訳で、兎に角その場から去りたかったのが本音だ

屋根上から離れていくにつれ、走る速度を落していく

「(なんだったんだろ…アイツ)」

でも、その場から離れても顔の熱は消えてくれそうにない
もう会う事などないんだろうなと思っていたが、その思いも砕けて散ることになる



 
…その頃。



「あれが僕の新しい副師団長ナナシ・ムメイ…」

少年――…シンクは、笑みを浮かべる
この後、ナナシに会ったときどんな表情をみせてくれるのか…
それが楽しみで仕方が無かった

《また今度っ》

ふと、ナナシが言った言葉を思い出した

「さてと、僕も行くか…楽しめそうだしね」












気まぐれ
それってある意味では
    キセキ≠ネのかもしれない

だって、この出会いがなければ
キミと寄り添って寝ることなんかできなかったから―――…。


「シンクどうしたの?」

あの日と同じようにナナシは覗いてきた、それにシンクは
ナナシの頬に手を当て、優しい声で言った

「いや、ナナシと出会った日のことをおもい――」
「忘れて!!」

話を言おうとした途端ナナシは叫ぶ、ナナシにとって忘れたい出来事なのだろう

「人の話は最後まで聞けって言ったのにさ、ナナシも聞いて無いよね」

そう言いながら、シンクはナナシの腕を引き自分の腕の中へ引き寄せたナナシも
大人しくシンクの腕のなかに収まっていて…
そんな2人を暖かい太陽の陽射しが照らし続ける


今日も、また……








「結局、跳び膝蹴り喰らったしね」
「ああああああ、言わないでっ!?」


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