「正直な話、私はあなたが嫌いなのよ」
「…………………は?」
晴れた休日、誰もいない談話室。
暑いから火のたつわけもない暖炉の側でのんびりと本を読みながらまったりとした恋人の時間を過ごしていたはずなのに、そんなこと言われた。
っつーか、普通に傷付くし。
「なのに、あなたはいつもいつも私をハラハラさせて、それを恋愛感情だと勘違いしたのね」
なんつー失礼な。
チラリと名前が読んでいた本の表紙を見てみるといつもなら絶対読みはしない、近頃なんか人気が出た哲学書のひとつだとその外装から判断した。
流されやすい奴。
そう思って思わず笑ってしまった。
「なんでそこで笑う」
とりあえず、立ち上がってみた。
未だ睨みつけてくる名前に微笑みを向けて、チューしてみたり。
「これでドキドキしないと?」
「…………すみません、一方的な私の勘違いでしたあぁっ」
「分かれば良し」
ぐしゃ、と頭を撫でてやった。
いつもなら子供扱いすなー!とか文句言ってくるとこだろーけど、今日という今日は黙ってた。
勘違いの恋心