職業柄、なんだと思う。
はたまた出生が原因か?
理由はなんとも分からないけど、覗き込んだ瞬間………というか、人の気配で起きるクセ、それ直してくれないかな。
なんて、思うわけです。

「………だからってこれはないだろ………」

がっかり、と脱力感溢れる声は勿論、頭が痛いとジェスチャーまでされた。

「いいじゃないですか、可愛い部下の前でくらい安眠してもらいたいんですよ」
「………永眠に近そうだ」
「それはまだ眠らせてあげません」

ただでさえ人より寿命短いだろうに。
ヘビースモーカーの割には綺麗な歯が見えた、ちょっと腹が立つ。
私はコーヒーだけでもヤバイと思ってるんだけど。





雑務を終えて、直属の上司である彼の執務室へ行くと革のソファーで横になっていた。
黙って書類だけ置いて出ていこうかとも思ったんだけど、うっかり立ち止まってジッと魅入ってしまって……残念ながらパッチリその瞼は開いてしまった。

「すみません、起こしちゃいました?」
「……そりゃそんなに見詰められればな」
「いやー、だってそこで寝るのは辛そうでしたし。革ですよ、汗めっちゃかきますよ」
「……あーじっとりする」
「ほら」

仕方ないとばかりに机に書類を置いて、隣に腰を下ろし、上がりかけてたその頭を膝の上に寝かせた。

「まぁ、こうしとけば、少しは背中も開いてさっきよりは良いかと」
「………だからってこれはないだろ………」

と、まあ冒頭になるワケで。

「たまには眉間にシワ寄せないでくださいよー」
「るっせーんだよ」
「眠れないなら子守唄でも歌いましょうか」
「ぜってーいらねー」

そんな可愛くないことを言う上司を無視して額にゆっくりと手を当てて離してを繰り返した。
なんだかんだ言っておきながらやはり眠気はまだ残っていたようですぐにうつらうつらし始めた。
笑いを堪えながら子守唄を歌い続ける。

「ごーくでーら 良ーいー子ーだ ねーんねーしーな」

ぐい、と髪を引っ張られて、気が付いたらあの憎たらしいくらい端正な顔が目の前にあった。

「…………名前…」
「え?」
「二人のときは名前呼べっつったろ」
「……隼人?」
「ん」

にっ、と笑った顔を見てこっちが赤くなった気がした。
と、突然膝に掛かっていた重さが消えて、自分が持ち上げられた。

「へ………あの……獄寺さん?」
「名前呼べっつったろ、名前」
「いや、あの、起きてますよね、すっごく」

にぃ、とさっきの無邪気さなどカケラもない笑顔がこちらに向かっていた。
嫌な予感。


「さ、寝んねすっかねー名前と」
「え、いや、ちょっ!?」



途切れたララバイ

嫌な予感?大当り。

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