ふわ、と欠伸をすると何処からか「ぷっ、」と言ういかにも嘲笑してる笑い声が聞こえた。
ふ、とそちらを見ると獄寺がぶすす、と笑ってる。思わず恥ずかしさから顔を真っ赤にして口を手で隠すと奴はまた前を向いたけれど肩が笑ってる。
ちくしょう、嫌な奴に見られた!
マナーにしてた携帯のバイブがなって、授業中なのにやばいと思ってすぐ消そうとすると相手は言わずもがな。
“すげー顔だったぜww”
うっぜーっ!!すっげーうぜーっ!!!
怒りで血が上り、顔がさっきとは別の理由で赤くなった。
返信しようとしたけれど、カツーンとチョークが額に飛んで来た。
痛いし前髪がっっっ!!
問題の方向を睨むと先生がこちらを睨んでいた。
ついでに野次馬という名のクラスメートもこっちを見てる。(見るな……私を見るなぁぁぁっ)
「名字さん………私の授業、そんなにつまらないと?」
「……ソ、ソンナコトナイデスヨ」
「そう? じゃあとりあえず教科書読んで貰おうかしろ。54ページ頭からね」
1ページめくって指定された箇所を読もうと立ち上がった。
「『喫煙が身体に及ぼす影響』」
思い切り奴の方向向きながら読んでやる。
獄寺がちょっと噎せた。
ざまぁみろだ。
読み終わると、先生が座るように指示したくせに「あなたはタバコについてどう思う?」と質問してきた。
「クサイので臭いを嗅ぎたくもないです」
と、厭味たっっっぷり含めてそう答えた。
「そうね、健康のことを考えたらそれが1番よ。受動喫煙の方がガンになりやすいもの」
先生どー見ても獄寺見てるし。
放課後、掃除当番だった私は机の移動なんて言う力仕事大っ嫌いなのでゴミ捨てという労働に進んで行った。
校舎裏に回るとタバコの臭いがする。
先生かなーと思いながら歩いてた、ら。
いったいどんな冗談だっての!!
「よぉ大口女」
「なによ口臭男」
「なっ!おまっ……失礼な奴だな!」
「よく言えるな、そんな口」
獄寺は吸ってたタバコを地面に落として上履きで踏んで火を消した。
「よく吸うね、そんなの」
「おまえもいるか?」
「絶対いらない」
「ふーん」
そっぽを向いてゴミ捨て場に行こうとすると腕を掴まれて振り返ると、唇が塞がれた。
「どーよ感想は」
「…………まずい」
………って、そんなコト言ってる場合じゃないよ!!!
思い出したように口を押さえた。
顔は絶対赤くなってる。
ファーストキスはレモン味ではありませんでした。
「な、名字、好きなんだけど」
「……どのくらい?」
「見詰めすぎて欠伸姿見ちゃうくらい」
ちょ、私ゴミ箱持ったままなのに!
少しはTPO考えようよ!