「ちょっと待てよ、お前ら!!まだソイツが勇者と決まったワケじゃねーだろ!」
勇者と称えられた俺に救いの声があがった。
半泣き状態で顔を輝かせた俺は声の主を見て絶叫した。
「初期寺くんーーーっ!?」
初期寺くんはこちらを胡散臭そうな目で見詰めてきた。
「そーだな、ホントに勇者ならまずは証拠見せてもらおうか」
「しょ、証拠………」
よし、俺そんなもん持ってない!
でかした、右腕!!
「おし、お前ら!こいつをあそこに連れて行け!」
『おうよ、獄寺の坊ちゃん!』
「その呼び方もやめねーと果たすぞ」
ダメだ、この初期寺の奴、俺を助ける気もない。
白目を向いたまま、俺は恐る恐る初期寺くんに聞いてみた。
「あ、あの………あ、あそこって何処……?」
「ああ?そんなん決まってんだろ」
目的地に着いたらしく、それまで引きずられていたが急に止まり、かと思いきや、ぺい、と薄暗い闇の中に放り込まれた。
「え?え?な、なんなわけ?」
ガシャン、と嫌な音がしたと思ったら、入り口にされたところに檻に付けられてるような柵が設けられていた。
え、何の冗談ですか、これ。
「最初の難関ポイントをくれてやる。この最奥には悪魔みてーなのがいるんだとよ、ちょっくら倒してこい」
「ええええぇっ!!!??無理!!!無理ですから!!!!」
柵にしがみついて出されることを懇願すると、あろうことか、初期寺の奴、柵蹴りやがった。
もー少しで指までやられるとこだった。
なんて奴だ。見損なったよ。
俺は恐る恐る振り返り闇を見詰めた。
怖いけど、ちょっと楽しそうだ。
だってこれ、1番レベルも所持金も貯まりやすいとこだよね。
城下街ダンジョン
「リボーンぶっ倒しレベルにまでなってやる」
【まだまだ青いな】
「いたのかよ!!!」
【俺はヘルプ機能役だ】
「………へー…」