私立銀魂高校
今日も朝から元気が余っている。
そして休み時間にそいつは起きた。

「はぁ〜?校内で盗難?」

休み時間に職員室までわざわざ訪れるとは…と半分感心、半分迷惑そうにしながら、鼻をほじっていた銀時はうっかり指を奥の方まで突っ込んでしまった。
うおぉっ、と訴えに来た生徒とは逆の方向に鼻を押さえながら呻く。

「いって、血が出る…!」
「それで銀時先生に犯人を暴いてもらいたいんですよ」
「新八、お前先生に対しての心配はないのか」
「今のは自業自得でしょう」
「チキショウ、なんで俺ばっかこんな仕打ちを受けなきゃなんねーんだ…」
「だから自業自得…ってゆーかいい加減鼻ほじんのやめろよ! 普通やんねーよ!」

銀時は痛みが落ち着いたらしく、反対側の穴に小指を埋めていた。

「え、やんないの? みんな鼻クソどうやって取るんだよ」
「鼻噛むでしょ普通」
「それだけで取れるわけないだろー、俺のはマグナム級なんだぜ? しかも鼻孔にこびりついてやがる」
「知りませんよ、ってゆーか知りたくもなかったですよ」

新八は死んだ魚のような目で尚もほじりつづける担任に見切りをつけて、報告書に目を落とした。
報告書、というか、被害届をいつの間にか学級委員に押されていた新八に押しつけ、それが半端ない数になったのでようやく動いた、と言った方が正しい。

「えーと、まず姉上の縦笛」
「犯人見つけただろー前に」
「犯人は心の傷を残したままなそうなので、それも奪ってくれと」
「こじつけがましいなー…あいたっ、あ、鼻毛とれた」

ささっ、と銀時の鼻に向かってティッシュが舞った。
ありがたく一枚を掴み鼻毛を包み込んでゴミ箱に投げた。
あ、外れた、と思ったが、ささっとゴミ箱が移動した。

「ふふ、銀さんの為ならこのくらい、なんてことないわ、だからお礼なんて…別にデートしてくれるだけで良いの」
「さっちゃんさん、眼鏡ずれてます、僕銀さんじゃありません」
「そんなわけないわ、私が銀さんを見間違えるなんて…」

うっとりとした表情で女子生徒は新八の頬を包み込んでいたが、その言葉を否定するために額にかけていた眼鏡を鼻の上にずらした。
確かに間違っていたとわかった途端に表情が冷め、バチーン!と小気味良い音が響き、新八はその数秒後に床に沈んだ。

「もう、銀さんってば、私をからかってるの?」
「その言葉、そっくりそのままお前に返してやろう」
「謝れえぇっ!! そしてお前こそ生徒の心配しろおぉっ!!」

新八は不死鳥の如くよろしく回復し、眼鏡を掛け直しながら叫んだ。

「今のは自業自得だろう」
「ふざけんなよっ!?」
「まぁ、銀さんに何て暴言吐いてるのかしら」
「てめぇらまとめて一回死んで来いぃぃっ!」

渾身の力を込めた突っ込みをした新八の上にどし、と神楽が乗り掛かった。
ぐえっ、と蛙が潰れたような悲鳴をあげた。

「新八〜、アタシのこと銀ちゃんに言うたアルか?」
「…神楽ちゃん、重い、退いて、まだ言ってない」
「レディーに向かって重いはないアル!」

神楽は立ち上がった、と思ったら新八の脇腹を一蹴して、鼻を鳴らし、銀時先生のもとに向かった。

「銀ちゃん、アタシのお弁当、誰かに盗まれたアル!!」
「いつも人の弁当強奪してるから罰でも当たったんだろう」

サチに後ろから頭を抱き締め撫でぐりまわされながら迷惑且つ面倒顔で神楽の訴えを一蹴した。

「だいたい、お前、さっきの俺の授業の時でも早弁してたじゃねーか」
「嘘、アタシさっきの授業、居眠りしてたアルよ」
「あー、じゃーあれだ。寝ながら食べてたんだ」
「なるほどぉ、道理で味がリアルだった訳アル」
納得顔の神楽に対し、銀時先生は撃沈している新八に面倒くさそうに目をやった。

「新八ー、もしかして全部こんなノリかぁ?」
「…そーですね。 ってゆーか、銀八先生、居眠りに対しては怒らないんですか」
「いーのいーの。 俺だっていつの間にか授業終わってたなんてしょっちゅうだから」

ちっ、仕方ねぇ、と舌打ちをして銀時先生は立ち上がった。
纏わりついていたサチの顔を押さえ付けながら。

「やだわ、銀さん、こんなSMプレイ…私…っ」
「赤くなりながら言うことじゃないアル、このメス豚」
「なんですって」

キィー、と白目を向き合いながら女二人向き合っている。
銀時は新八が殴られた際に落としていた報告書を拾い上げ、ざっ、とパラ見して紙の束を筒状に丸めて職員室を出た。

「新八、次のHRはこれについてで良いよな」
「…はいっ!! 二人とも! HR遅れるよ!」
「うるさいわね、眼鏡」
「お前も眼鏡だろおぉっ!!」

ギャイギャイ五月蠅い集団が職員室から出て行って教員が喜んだことは言うまでもない。






















このノリ楽しい
タイトルと趣旨が一貫しないワナはスルーの方向で……
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