家にいる時だけだが、数年前に暇を見付けては、ふらりと出掛けて、お茶して帰る妙なクセが出来た。
自分でも変だとは自覚はしているのだが、いつもコーヒーをふたつ頼んでは、時間をかけて飲んで、片方だけ残す。
悪いな、とは思ってんだけどな。
ちまちま飲んでる間、壁に身を委ねて窓の外を見る。
行き交う人の顔ひとつひとつを何となしに見つめてる。
目が合った時ほど気まずいものはない。
カフェラテと一緒に貰ったミルクも砂糖も全部入れて掻き混ぜた。
昔もこうしたかったんだけど、きっとその時一緒にいた奴にそれを見られたら「子供だ」とか言われる上に眉を寄せられたんじゃないかと思う。
美味いのに。
随分と長い間、切ってもいない髪が耳に掛かり、邪魔に思って後ろに結び直した。
切れ、と言われてもあまり乗り気にもならない。
少し腰を動かして座り直すと腰のあたりに付けていた若干大きいアクセサリーが椅子に当たってカン、と音がした。
首の付け根を手の平に預け、肘を着いて考えることは毎度のことながらろくでもない。
昔に比べると肩の懲りが減った。
些かそれが淋しいんだ。
カフェラテを飲み干して、席を立った。
580円の会計を済まして、店員の可愛い女の子にありがとうございました、と言われた。
出口間際でふ、と自分の座っていたテーブルを見た。
僕の隣に君がいない
テーブルの向かい側の席には冷めきったエスプレッソが今日も残ってる。
昔を懐かしむ葉