素っ頓狂な声を上げて首を捻った。
『くりすます?』
「なんでぇ、阿弥陀丸師匠、知らなかったんで? 男と女の聖なる日をぉ!」

けったいなモノが蔓延る時代らしい。





「竜さん、なんか違うから。阿弥陀丸が知らなくても当たり前だよ」

まん太殿は「ギブミーSEXY&ギャランティ&プリチー彼女おぉぉっ!」と叫ぶ竜殿に軽いツッコミを入れると拙者に親切にも くりすます なるものの説明を始められた。

「キリスト教信者にとっては格別な日でね、イエス・キリストが生まれたとされる日なんだ。
 ちなみに今年で彼が生まれて2008年目って言われてるんだ
 で、昔ある国の神父様が貧しい子供たちに聖なる日に少しでも幸せを、とプレゼントを配ったりしたことから、今ではクリスマスイブ、つまり前夜にサンタクロースが現れてプレゼントをくれるって言う風習が生まれたりしてね
 まあ、日本じゃ信者もそうじゃなくってもそれに乗じて浮かれる人ばっかりなんだよ」

『そうでござったか』

つまりは現代の祭りのひとつであると。
拙者も祭りは好きで御座るが、実際、どのようなものであるかが気になるところで御座るなあ。




と、葉殿に切り出してみた

「クリスマス」

あぁー、もうすぐ今年も終わるなあ!と葉殿は声を上げなさった。
アンナ殿は「そうね」と返すと黙々と草紙にまた目を落としているので御座る。(草紙の温泉、良いで御座るなぁ!たまには行ってみたいで御座る)

「阿弥陀丸が見たいってんなら、うちもやるかぁ!」
「嫌よ、めんどくさい」

悲しいくらいあっさり切り捨てられたので御座った。

「第一、麻倉の頭首であるアンタが外国宗教文化でちゃらちゃらしてもらっちゃあ困るのよ」
「………ごめんな、阿弥陀丸」
『いいで御座るよ』

アンナ殿に敷かれる葉殿が不敏に思えて来たので御座った。






馬孫殿に話してみた

『そんなものがあるのですか!』

馬孫殿は快活に拙者の話に興味を示された。

『坊ちゃまは、きっとそのような楽しい過ごし方など………!』

くっ、と涙ぐむ馬孫殿を横切るように蓮殿が放水室から出て来たので、本人に直接聞いてみたので御座る。

「知ってるさ。まったく、くだらん。クリスマスなど………」

蓮殿の顔がみるみる暗くなっていくにつれ馬孫殿は『坊ちゃまあぁ!』と脇で叫んでおられた。

「決まって現れるのだ、夢にデカイ怪物がモコモコした赤い服を来て枕元にキョンシーを置いていく夢を…!」

………夢、じゃなく現実だと思ったので御座った。






ホロホロ殿に尋ねてみた

「く…………っ!!」

何やら、凄まじい顔になった。
仕舞いには涙を滲ませながら拙者の肩を掴んで来たので御座った。

「彼女いない歴だけ更新してんだ、そんな恋人たちのイベント、知ったこっちゃねぇっっっ!!!!!」

拙者まで泣きそうになったので次へ行ってみたので御座る。






リゼルグ殿に尋ねてみた

「………そっか。阿弥陀丸さんは知らなかったから見たことないんだね」

リゼルグ殿はオーバーソウルでペンデュラムを操作して小さな教会を作ったので御座った。

「教会とか、いろいろなところでイルミネーションが光ってね、すごく綺麗で楽しくて。子供にとっては父さんとも母さんとも過ごせる素敵な時間が……………父さん………母さん…………」

想い出が詰まっているらしいけれども、何やら暗雲が立ち込めているようで御座る。






25日(クリスマス)朝

「兄さーーん!」

葉殿が寒中修行に励んでいるところにルドセブ殿とセイラーム殿がやって来たので御座る。

「ルドセブ!セイラーム!」

セイラーム殿は大切そうに大きな縫いぐるみを抱き抱えているので不思議に思っているとルドセブ殿が葉殿に事の始終を話して下さった。

「朝起きたらさ、オレとセイラームの枕元にプレゼントがあってさ。セイラームがサンタクロースを見たって言うんだ」
「本当かぁ、セイラーム」

こく、とセイラーム殿は頷き、葉殿は「そいつはすげえな」と微笑んだので御座った。

「………夜中に、ね。変な音がしたから起きたら、サンタさんがいたの」
「うん」
「……サンタさんって肌が黒いんだよ」
「そうなんか」
「冬、一日で世界中を飛び回るから、夏の間はハワイでバカンスしてるからって言ってたの」
「そいつは初耳だ」

セイラーム殿は嬉しそうに葉殿に報告をしているので御座ったが、ルドセブ殿は苦笑い気味で葉殿に耳打ちをしたので御座った。

「兄さんから、サンタに礼言っといて」
「わかった」

葉殿は幼子二人を自宅に入れた、そう言えば、たまお殿が『ケィキ』なるものを作っていたで御座ったな。






手持ち無沙汰になったので

チョコラブ殿のところへ行ってみたので御座る。

『昨夜、ルドセブ殿とセイラーム殿はサンタ殿からプレゼントを貰って喜んでいたので御座るよ。』
「へぇ、そいつは良かったな」

チョコラブ殿は鼻の下を指で擦りながら応えて下さった。

『拙者、やはりクリスマスがよく分からないで御座る』
「………クリスマス…ね」

チョコラブ殿は全身を使って伸びをなさった。


「ぶっちゃけ、オレはクリスマスに良い想い出は無い………でも、こう思うんだ」


とにかく、幸せを感じる日なんだ

    ってさ


「クリスマスに託けることにしてな」



で。

結局何なので御座ろうか。
拙者にはよく理解出来ぬもので御座った。

誠に、現代の祭りとはけったいだと思ったで御座る。
しかし、もう少しで正月、こちらなら理解出来るで御座る。

拙者はそちらを満喫することに致そう。






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