※蜜柑時代、勝手に原作の終わり(?)を予想しながら妄想したもの


























起きたときは、もう世界の終焉へのはじまりだ。


「………うしっ! 巫力完全回復!!」


布団から起こした上半身が伸びをしたらバキバキと音が鳴った。 まだまだ成長期真っ只中な証だ。 隣で寝ていたはずの蓮はすでに朝の日課(牛乳瓶一気飲み)をはじめている。

「今日もビンビンだな、蓮」
「ふ、当たり前だ、俺は毎日牛乳3本飲むからな」

浴衣から戦闘服に着替えていると、ログハウスの外でカリムがぽつん、と立っている。 持ち霊も心なしか哀しそうな瞳を覗かせた。

その様子をホロホロが神妙な面持ちで見ていた。

「ホロホロ」
「……んだよ」

会話を続ける気にもならない。 まさかあのカリムを倒さなければ、だなんて

「この戦い、勝ったら、カリム、例のアレが付いたスカルキーホルダーくれねーかな」
「……値切って買ってなかったか?」

陽気な鼻歌が聞こえる。
洗面台の前で竜がかなりの量の整髪料をふんだんに使ってご自慢のリーゼントを整えていた。
脇でリゼルグが歯を磨いている。

何ひとつ、変わっていなさそうな朝だった。



「みんなー、朝ごはんできたわよー」



やっと目に入ったチョコラブはまさかのフリフリエプロン若妻ルック。
白目になった蓮とホロホロが制裁をいれた。
アバさんが お気楽な奴らめ、 と笑った。


「おいおい、食わねーのかよ、お手製の朝飯なのに」

たしかに、チョコラブが出て来た扉からは、良い匂いが漂っている。 ホロホロの腹の虫が鳴いた。

ゆるー、と葉は匂いのする方へと赴き、素直に感嘆した。


「すげーな、チョコラブ」
「だろ?」


うがいまでして出て来たリゼルグもその料理を見て顔を輝かせた。


「上手なんだね、チョコラブ君」
「え? なんでオレ?」
「だってお手製って言ってたでしょ?」
「ああ、お手製だぜ。 カリムの」

「その場合はチョコラブ、貴様が作ったという意味の言葉になるではないかっ!!」


トンガリをチョコラブの頭に刺した。
これが俺だったら、血でも出るだろうに、チョコラブの奴アフロでカバーしてやがる…… と、微かに羨ましそうにホロホロはその光景を見た。



「ま、とりあえず食うか」



葉がそう言うと、ホロホロは玄関を開け、そこから外にいるカリムに声をかけた。



「朝飯ありがとな、カリム!!」



一拍置いて顔を上げたカリムはにこやかに手を振った。



「どってことないさ」



嘘のように穏やかな朝に何だか解らないが、葉の口許に笑みを浮かんだ。 手を合わせて いただきます、 とそらんじた。



「もーらいっ」



ホロホロがそう言って蓮の取り皿に乗っていた焼売を横取ると、蓮の頭のトンガリが伸びて、首を傾けたため、ホロホロに刺さった。



「……大丈夫? ホロホロ君」
「おぉ、こんくらいの出血は慣れてっからな!」
「……って、ホロホロ、おまえ昨日も包帯巻かれるケガしてたじゃねーか」



リゼルグも竜の言葉に肯定の意味で心配していたはずなのにホロホロの答えはちんぷんかんぷんだ。


少し長めの電子音が響いた


発信源はオラクルベル。 嫌な心地になりながらも、葉は躊躇いもなくそれを手に取って電子版を見た。



「………神聖なるムー大陸に侵入者だってよ」



ほれ、と葉は隣にいた蓮に渡して見せた。



『………それ、ねえさんやミッキーたちかなっ!?』



少し透けているルドセブが期待の声をあげた。



「だろうな、サティたちも、みんな来るだろうよ」
「ルドセブー、おまえヤバいんじゃね?」
『? なんでだよ』



ホロホロがニヤニヤしながらマヨネーズたっぷりの茹でたアスパラガスを口に入れながら茶化した。



「勝手に抜け出してそーなったんだろ? 恐ぇぞー、葉の嫁は」
「いやぁー、それほどでも」
「いや、葉、褒められてねーって」


頬を赤く染めた葉にびしっ、と珍しく正論を点いたチョコラブのツッコミが決まった横で、ルドセブの背景の壁もビシッとひび割れた。



『………お……怒られる………! 殺される………っ!』
『大丈夫でござるよ、ルドセブ殿』



ガクガク震えるルドセブを阿弥陀丸が宥めた。……今はもう殺される心配もないのだが、そこは誰も何も言わない。


テーブルにあった食事はすべてきれいに無くなり、 皿をすべて水につけた。



「うしっ、……アンナたちとも合流できそうだし…………いっちょ、腹ごなしでもすっか」



葉が外に出るとすぐにスピリットオブソードの切っ先をカリムに向けた。 巨大な巫力が背に迫ったが、攻撃をしないことは分かっているので、カリムはゆっくりと後ろを向いた。



「……相手、してくれるよな、カリム?」
「……ああ、もちろんさ」



葉は一度、オーバーソウルを解き、その間に全員横に並ぶように揃った。
その様子を見て、カリムが微かに笑った。



「悪いが、俺もパッチの誇り高き十祭士……手加減はせぬぞ」



「のぞむところだ」
そう言うと、ホロホロがカリムに一撃いれようと走り出した。




























中途半端な終わり方は仕様です、WJの一週分、みたいな(^O^)/ そしてつづきはどーなんだろね?みたいな
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