どうしようどうしようどうしよう

俺は今、多分、人生最大の一大決心をしようとしている。と、思う。
そりゃあ、ふざけ半分にも恥ずかしながらも真剣にもレンタルショップのAV(アニメーションビデオではない)のコーナーにはお世話になりました。

どっこい、カノジョは出来ず、ナゼか今や恋人はいます。
うわーい、オメデトー…じゃすまないんだぜ………むしろそれで悩んでるんだよコンチクショオォッ

だってよ、まあ普通に考えろ

俺は男
あいつも男
なのにコレ



いやいや、俺的に言わせてもらえばさ、キキキキキスっ、だってまだまだ早いんだけどな!
いつかは、きっと、多分、おそらく、めいびー、…………チョメチョメ、ると思うわけだ。うん。



だから、ちょっと学習をば、と行きつけのレンタルショップに来たは良いが…………
は、恥ずかし…………っ

男モノだぜ
初挑戦だぜ
手にとるのさえ躊躇すっぜ

まあ、それを借りて?
見てすぐ返そうと、その日のうちに返そうと
てか、家の誰かに見られたら1番困るからとっとと手元からサヨナラしようと思って、朝から、な
あはんうふん、ならまだしも、そんななまめかしさのカケラもない、汗と肉体と涙と恋の入り混じるモノを鑑賞いたしました。





 吐きました\^o^/





いや………うん
良い体した男同士がくんずほぐれつ………うげ、思い出した
思わず口元押さえてしまう

……なんで俺男なんだ
しばらく男なんか見たくない

なんて思いながらしょぼしょぼとDVDを袋に詰め直してベッドに寝転がった。

俺は男
あいつも男

ボワン、とDVDの内容を思い出して一生懸命思考から追い出した。

いや、うん、あいつもアレで男だ
動かぬ事実だ

ぶっちゃけた話、勃つのか、俺



部屋に引きこもっていたら、ドアの外から人を招くピリカの声が聞こえた。



「お兄ちゃーん、お客さん」
「よ、ホロホロ」

「っ……! おぉ、葉か」



ガバっ、と起き上がって葉を部屋に引き入れると、ピリカに「ほら、もう良いから早く行け」としっしとすると、頬を膨らませられた。
ふんっ、と自室へ向かったのを見て安心して、扉を閉めた。

振り返ると葉は人のベッドに座って足をぶらぶらさせていた。



「相変わらず汚くはないのに散らかってんなー」
「良いんだよコレで」



ちらっとうっかり、妙なところへ目線が行ってしまった。

ぞわ、と寒気がして目線を上げると葉が「あ、なんか借りてる」とレンタルショップの袋を手に取ろうとしていた。



「って、うわああぁぁぁっ!!」
「うえぇっ!?」



がしっ、とその手首を掴んでやめさせた。
葉は俺の悲鳴にびっくりしていた……が、今うっかりすっげぇ顔が近いことが1番びっくりだ。



「わ、悪かったな、まさか見ちゃならんとは」
「…なぁ、葉」



葉の謝罪を止めて、みた。
心臓がばくばくばくばく鳴ってる。
き、聞こえてる、わけはない、多分!!



「俺に触られて気持ち悪くねーのか?」



こくん、と不思議そうに、それでも肯定の意を示した。

肩を押して馬乗りになってみた。
…………ってうおおぉっ!? この体勢って思った以上に密着してんじゃねーかっ!!!



「これでもか?」



葉はニッコリ、と笑うと俺の頬を包んで額同士をこつん、と合わせた。



「……そーゆーホロホロは?」



俺も男
こいつも男

なのに



「………嫌じゃない」


「オイラも」



へへ、と笑う葉を見て、思わずため息が出た。
悪い、と言って起き上がり、なんだったんよーと聞いてくる葉をよそにDVDなんか借りて来たことを後悔した。

そうだよ、最初っから先に勉強なんか必要ねーんだよ



「葉、DVD返しに行くの着いて来てくんね?」
「おーいーぞ。ってか、何借りたんよ」
「内緒」
「うえー」





少年Aの一過性の憂鬱
今はこれでいーじゃん




 
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