※The MANZAIパロ







「………嘘だろ?」

北海道から転校してきたばかりの俺は、あまり話したこともなかったクラスメートにお呼び出しをくらった。
見た目からダラダラしてる奴だから、多分、転校生に対してのイジメとかではない、と思った。
そもそも、肉体的な喧嘩ならきっと勝てそうな気がする。

って、これだとイジメの方がまだマシじゃねーか。
ガツンと殴られた方がまだマシだ。いや、マジで。ぜってーやり返さない条件さえ付けてやっても良い。

「いいや、オイラは本気なんよ」

嘘だと信じたい。
なんということか、俺はたった今、この男、麻倉(下の名前は覚えてない)に『おつきあい』を申し込まれた。
寒い(と言っても俺からすればたいしたことない)のに呼び出された学校近くの駐車場でヘナヘナと座り込んでしまった。

なさけない…
俺まだ女の子と付き合ったこともないんだけど。
そんなシュミも持ち合わせてねーんだけど。

「泣くよーなことじゃないぞ?あ、嬉し泣きか!」

麻倉がニコニコと笑うのが分かり、僅かに睨み付けた。
のに、それをそう取っていないらしく、ニィと歯を見せて笑った。

「な、碓氷、いいだろ?」
「いや、あの、麻倉、悪いんだけどさ、俺別にソッチの気は…」
「大丈夫!オイラはおまえが初めて教室に入って来た時にピンと来たんよ」
「俺は別にピンともキリとも来てないし…」
「え?…ピンからキリまでをかけたんだよな?それはつまらねぇぞ」
「え」

いや、そんな…別にそこを諌めなくても、なあ?

「まあ、今のは見逃してやるけど、な?良いだろ?きっとオイラとホロホロが会ったのも運命だって」
「い、や、その、俺はどっちかっつーと相手は女の方が良いと…」

たしかに、ちょっと麻倉は女だったら好みだけど………ないないない。
俺的にはぜってぇ対象外!

「女………は、ちょっとノリがズレるんよ、オイラ」

おまえの思考がズレてると俺は思う。

「ほら、なんか男どうしの方が見やすいだろ?」
「いや、別にそーとは思わないけど……コジンの趣味にとやかく言わないけどな………と、とにかく、おまえはどうか知らねーけど、俺は未経験だし、そっちに進む気もないんで」
「オイラも経験はこれからなんよ。ダイジョーブ!な、コンビ組んでやろう!オイラもホロホロも才能あるって!」

何がダイジョーブだ!
てゆーかホロホロって勝手に打ち解けてんじゃねーよ!
……………ん?

「コンビ?…そー言うのカップルって言うんじゃね?」

一瞬の沈黙が俺たちを包んだ。

「麻倉………」
「葉でいいんよ」
「葉……コンビ…ってコンビか?」
「コンビなんよ。英語で言うところのコンビネーション。カップルとは違うぞ」
「………なんのコンビだよ」
「漫才だけど。さっきから言ってるんよー」
「言ってない」
「え」
「一言も言ってない」
「い、言ったつもりになってたんよ」


麻倉は、後ろ頭をがりがりとかいて、失態を繕うように笑った。
とりあえず『おつきあい』は『おつきあい』じゃなかったらしい。
良かった、安堵した、でも

「な、良いだろ?ホロホロ」

ぜってー嫌だ







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