ひょこ、と元民宿・炎の現リビングを覗き込んだ。
いつもならテレビの前に陣取っている煎餅貪り女も今はいない、リサーチによると里帰り中だとか。

誰もいない、と思い、ハオは季節限定家財のひとつに潜り込んだ。

「あー…ぬくぬく…」

正座で温もりを味わうつもりが、欲に負けて足を伸ばした。

  ガキッ

「…………」

嫌な音がして、嫌な感覚を覚えたハオはこたつの布団をめくった。
中では、弟が顎を押さえて震えている。
やっぱり蹴ってしまったらしい。

「…………なにしてるの、葉」
「ね、寝てたんよ………っ」
「え、ここで?ここで?」

にゅるにゅると不本意そうに葉は頭だけ布団から出して来訪者を迎えた。

「…………なんでいるんよ」
「寒かったから」
「服着ろっての」

的を得ていない会話を交わし、葉は大欠伸をした。

「葉、低温火傷になるよ」
「本望だ」
「そんなバカな」
「コタツムリにオイラはなる!」
「どちらかと言えばヤドカリだよね」

些かムッとした葉を無視してハオはポテッとテーブルに頬をつけた。

「まあ眠くなるのは確かだけど」

葉は目が虚ろになってきたハオと同じ行動をすることを本能的に嫌ったらしく、眠気覚ましにテレビをつけた。
ら、パチンッと音がして辺り一面、真っ暗になった。
ブレーカーが落ちたようだ。

「…………」
「葉、行ってきな」

なるべく早く、と促されたが、癪なので無視してそっぽを向いた。

「おまえが行けばいいんよ………どーせ場所も分かってんだろ?」
「寒いからヤだ」
「時間たったらこたつまで冷えるぞ」

一呼吸おいて、ハオは長めの息を吐き、よっからせ、と腰を浮かした。
よっしゃ!と葉が内心ガッツポーズをとったのもつかの間、パーカーのフードを引っ張られ、腰を取られて担ぎ上げられた。

「うん、葉、たまには省エネも大切だよ、こたつは諦めな」
「うぇーー…」
「代わりにあっためてやるから」

悲しいかな、ハオのその手の発言の後の出来事は予測がついている。
実体験もしちゃったりしてる。
さっきまでの温もりが嘘のように、全身から血の気がひいた。

「おっ、下ろせヘンタイ!!」
「それで下ろすような勿体ないことする奴はただの馬鹿だよ」

背中を叩かれても大して効果を示さない。後でネチネチ攻め上げるつもりなのは霊視などなくても雰囲気で解る。

暗いけれども、あの笑みには覚えがあるんだ


ルークが最後に嘲笑う




「チクショウ!!下ろせーっ!!この完全変態男!!!」
「それ虫に使う言葉だから」



















432: 李碧さまリク/こたつネタ84
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