Vacuum

人通りの少ない道の、暗い路地裏。
ハオと葉以外の影、声、すべてがある筈もない。
「…ふっ……んん……」

少し、深いだけの口付けで、葉は息を荒げるが、ハオはまったく気にも止めなかった。

抵抗する両手も、ハオにとっては何て事ない。
葉の腰を押さえ、尚愛撫する動きに、葉は上気を上げて行く。

「クス……やっぱり、外でヤった方が感じ易いんだね…」

ようやく、口を放し、発した第一声に葉はすでに紅い顔をさらに紅潮させた。

「………んんっ!?」

区切りがついたように思われたハオの行為は、やはりまだ終わってなくて。

ハオは葉の腰を掴んだまま、しゃがみ込み、脇にワザと音が鳴るように唇を降らした。

「……や…ぁ…ハオ……!」

葉はハオの肩を押して、離れようとするも、そんな行いは体力の無駄だった。

感情だけは既に高まっている。
なのに相手は受け入れてくれない。

寒い、と嘆く割に薄着だというまったく以て矛盾した格好が葉への悪影響を与えていた。

ハオは自分が与える皮下出血の跡は、葉への愛の印だと、勝手だと思いつつも、身勝手な理屈をつける。

肩が露見すると、ハオはまた立上がり、容赦なく噛み、葉の右肩はジンジンと疼いた。

その肩にキスしたり舌を這わせたり、とにかく、“ハオ”を葉に残そうとしているようだった。

ハオがその事に無心になったと気付いたのは、葉が泣き出してしまってからだった。

「ふ……ひっ…ハオの……ばかぁ……」

ハオは我に返ったように、少し、葉から離れ、辺りの状況を確認した。

依然、通りには人の姿はない。

何が葉を泣かせてしまったのか。
やはり、自分か?

葉は淫らになってしまった格好を正しながらハオを腫れた目で見張った。


「……足…退けろ…」


ハオは葉に挟んでいたそれを退かした。


「…違うんよ、ばか……逆なんよ……」

見るとそこには、葉が持っていた袋がハオの足によって倒されて、踏み付けられていた。

Yearn

「……あーぁ…」

葉が目を擦りながら、袋に手をつけた。

「………ばかハオ」

葉は半ば、怒った様子でハオに袋を渡した。


「……何これ」


ハオは怪訝そうに葉に尋ねた。

葉は顎で何かを示したので、ハオは中身を確認する。


「……クリスマス…?」


綺麗に包んでいる包装紙には、MERRY X'mas と赤いリボン付きのシールが貼ってあった。


「……ハオは…行事事に興味ないって言ったけど……オイラは便乗して、一緒にいたかったんよ―――。」


だから、蓮に付き合わせて、店を回り、僕へのプレゼントを選びに行った―――?



葉の説明、行動からハオは自分の中で納得できた。

申し訳なさそうに、葉を優しく抱き締める。

葉が一瞬、萎縮してしまったのを見て、ハオは更に罪悪感に包まれた。

「……ごめん…ね…?」


ハオは無意識のうちに腕に力を込めた。


「葉の気持ちが知りたかったんだ……」


葉はためらいながら、ハオの背中に手をまわし、数回、慰めるように叩いた。



「……不安で不安で……葉がどこか、行っちゃうんじゃないか、って…」

ハオの頭を乗せている肩は痺れが始まっていた。


「不安なのは、仕方ないだろ?…たとえ、お前が霊視したって、気持ちは分かんないんよ?……それは皆、同じなんよ、きっと。」


ハオはそう言った葉を見た。
見返したその顔は困ったような、優しい笑顔。

「許して、くれるの?」


「―――どうだかな。」


葉は不敵な笑みを漏らし、ハオから袋と中身を取り返すと、もとの通りに出た。


「えぇっ、ちょっと、葉ってば!」


ハオは先を行く葉を追いかける。

急に葉は振り返り、ハオの手首を掴んで、自分から唇を寄せた。

あまりにも突然で、あまりにも珍しい出来事にハオは目を丸くする。

「………これでチャラにしてやらんでもないぞ?」

葉はハオの反応に機嫌を良くした。

「………やだなぁ、今日の葉ってば積極的。」

「………何言ってるんよ、お前………」

「今夜はお言葉に甘えて張り切ってあげるから♪」

「謹んで遠慮願います。」


ハオは葉の手をとり、調子に、いつもの調子に乗り始めた。

二人の一番近くの星は、一番輝いていた。




「……ところで、僕へのプレゼントって何??」
「…さっきお前が目茶苦茶にしちまったヤツだよ…」
「え?もしかして、葉自身??うわー、積極的」
「……刺すぞ?」
「やれるもんならどうぞ?」
「……生憎、道具がないもんで。」
「お前に僕は殺せないよ。」
「………」
「あ、でも僕はいつも悩殺されてるなぁ♪」
「……マジうぜぇ」
「だって葉ってば可愛いんだもん。」
「…お前、家に帰ったら覚えとけよ…」
「殺られたらヤりかえすから。」


何かとイロイロあるけれど、僕らは今日も仲良しです。





私のェロ師匠にハメられて書いたやつ
恥ずかしさの極限に追い詰められた・・・本気で泣きそうなくらい(笑)

嫌な想いいれしか残らなかった作品です・・・
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